(扉)インスリン:新たな百年紀へ

2021.05.15
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特集■インスリン:新たな百年紀へ─最近の製剤の進歩を含めて─
(扉)インスリン:新たな百年紀へ
Vol.38 No.3(2021年5・6月号)pp.273

2021年5・6月号 目次

島田 朗 Shimada, Akira
埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科
野田 光彦 Noda, Mitsuhiko
国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科
西村 理明 Nishimura, Rimei
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科

はじめに

 1921 年の夏にインスリンが発見されて,本年で100 年が閲した.インスリン製剤は,その誕生の直後から確認された1 型糖尿病への劇的な治療効果によって,瞬く間に広く臨床に供されるようになり,爾来,2 型糖尿病はもとより,数多の糖尿病患者に大きな福音をもたらしたことは周知のとおりである.この間,インスリン療法の進歩 には目を見張るものがあり,その歩みは現在も弛むことなく継続している.
 今回の企画では,このインスリン発見100 周年に因んで,インスリン療法の過去から現在地に至るまで,そして未来への展望へと,重厚な執筆陣によって多彩な観点から論考していただいた.
 最初に,葛谷 健先生には,世界と日本のインスリン療法の歴史と将来像について,製剤の進歩や,制度的な側面などをも含め,広範なご経験をふまえて深掘りしていただいている.黒田暁生先生には,最近開発された製剤や器機も活用した最先端のインスリン療法を,ご自身での例証を含めて具体的にご提示いただいた.
 次いで,新たなインスリン製剤への変革として,GLP-1 受容体作動薬との合剤について弘世貴久先生に,より皮下吸収速度を速めた超速効型インスリン製剤について三浦順之助先生に,それぞれ最新の知見を展開しつつ,幅広く,かつ,わかりやすく情報発信していただいている.
 また,最近のインスリン関連デバイスについては,髙橋 紘先生との共著により,今回の企画を担当した編者の 一人(西村)が今後の動向を含めて実地に即し詳述し,最後に,これからのインスリン療法に関して,及川洋一先生との共著により,同じく編者の一人(島田)が近未来から,望見できる時間軸までの予想図を,予断なく描出している.
 また,本誌の前編集委員長でもいらっしゃる河盛隆造先生には,特集冒頭の“特別寄稿”として,先生ご自身が接せられたインスリン発見者の一人であるBest 先生の人となりを嚆矢に,“ブドウ糖のながれ”をバックボーンとする先生のご研究の歴史を微に入ってご記載いただいている.
 本特集の執筆陣は,深い見識と専門性を有する方々であり,それぞれにインスリン療法の側面に光を当てていただいている.ご執筆の先生方のご尽力を多とするとともに,含蓄ある知識が提供されている今回の解説群により, 過去・現在・将来を巡るインスリン療法の投影図についての読者諸賢の理解が格段に深まり,得られたものを臨床の現場にフィードバックしていただければ,編者としてこのうえない喜びである.

特集 ■インスリン:新たな百年紀へ-最近の製剤の進歩を含めて-

(扉)インスリン:新たな百年紀へ(5月31日up)

 島田 朗/埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科
 野田 光彦/国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科
 西村 理明/東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科

特別寄稿:わたしの「インスリン物語」~インスリンを最大限有効利用したい~(5月31日up)

 河盛 隆造/順天堂大学名誉教授
 順天堂大学大学院医学研究科・文部科学省事業スポートロジーセンター
 トロント大学医学部生理学

1.インスリン療法の歴史─これまでの進展を振り返る(5月31日up)

 葛谷 健/自治医科大学 名誉教授

2.最新のインスリン療法─コツとテクニック(5月31日up)

 黒田 暁生/徳島大学先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター

3.新たなインスリン製剤への変革
3-1.GLP-1受容体作動薬との合剤(5月31日up)

 弘世 貴久/東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野

3-2.超速効型インスリン(5月31日up)

 三浦 順之助/東京女子医科大学 糖尿病センター内科

4.最近のインスリン注入デバイスの進歩と今後の動向(5月31日up)

 髙橋 紘  西村 理明/東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科

5.インスリン療法の将来展望(5月31日up)

 及川 洋一 島田 朗/埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科

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