5.インスリン療法の将来展望

2021.05.15
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特集■インスリン:新たな百年紀へ─最近の製剤の進歩を含めて─
5.インスリン療法の将来展望
Vol.38 No.3(2021年5・6月号)pp.319-327

2021年5・6月号 目次

及川 洋一 Oikawa, Yoichi  島田 朗 Shimada, Akira
埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科

はじめに

 糖尿病はインスリン作用不全(インスリン分泌不全とインスリン抵抗性)に基づく慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である.糖尿病は成因別にいくつかの病型に分類されるが,インスリン分泌不全を主体とする糖尿病では,病型の種類にかかわらずインスリン治療が大きな役割を担っている.1921 年にインスリンが発見されて以来,この100 年のあいだにインスリン製剤は大きく進化し,多くの糖尿病患者が簡単,安全,かつ安心してインスリン治療を受けられるようになった.しかし,既存のインスリン製剤をもってしても患者の治療ニーズに応えきれていないケースがまだ多くあり,それらのニーズに応えるべく新たなインスリン製剤の開発が世界中で進められている.本稿では,既存のインスリン製剤によるインスリン治療のアンメットニーズについて私見を述べるとともに,最近注目されている新たな持効型溶解アナログ製剤の第2相試験の結果について概説する.また,経口インスリン製剤や吸入インスリン製剤の現状を中心にインスリン療法の将来展望について少し触れてみたい.

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