(扉)特集にあたって

2022.11.01
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特集■新しい時代の糖尿病医療
─予防・治療・啓発の将来像─
特集にあたって
Vol.39 No.6(2022年11・12月号)pp.609

2022年11・12月号 目次

本田律子 Honda, Ritsuko
虎の門病院 付属健康管理センター
中神朋子 Nakagami, Tomoko
東京女子医科大学 内科学講座 糖尿病・代謝内科学分野
岸本美也子 Kishimoto, Miyako
医療法人財団順和会山王病院 糖尿病内分泌代謝内科

 インスリンの発見から100年を超え,糖尿病の病態に対する理解は深まり,新しい治療薬やデバイスが開発されるたびに,それまで難渋していた血糖コントロールを克服できた喜びを幾度となく患者さんと共有してきた.また,プラクティカルな療養指導を担う医師・医療スタッフの輪は全国に広がり,その手法は深化してきた.しかしながら,糖尿病医療にとって解決されるべき課題はまだ多い.また,この100年でヒトを取り巻く環境は大きく変化し,その変化のなかには糖尿病の病態に不利益に作用するものや,治療や療養指導を受ける機会から遠ざけるように作用するものも少なくないように思われる.
 1984(昭和59)年に,本誌は糖尿病治療研究会により「いまなぜ『プラクティス』なのか」 1)との言葉をもって創刊され,現在にいたっている.読者の皆様に「プラクティス」という名の巨人の肩の上に立って,これからも糖尿病医療の発展に邁進していただきたい,また,今後の糖尿病医療が医師・医療スタッフにとって,また何よりも患者さんにとって,さらに視界の開けた,さらに希望のもてるものであってほしいとの願いから,今回は「新しい時代の糖尿病医療─予防・治療・啓発の将来像─」というタイトルで特集を企画させていただいた.
 本特集では,まず糖尿病の発症予防への展望を,1型糖尿病についてはワクチンの話題を中心に内田貴康先生らに,2型糖尿病については遺伝子情報の活用の話題を中心に安田和基先生に解説いただいた.次に治療に向けての研究動向については,膵β細胞の機能維持機構を坂野大介先生らに,食欲制御機構を中里雅光先生に解説いただいた.最後に糖尿病の啓発については,医療者への啓発に関して糖尿病専門医の立場から岸本が解説し,一般への啓発に関しては医療情報を発信する新聞メディアの立場から田村建二氏に寄稿いただいた.
 読者の皆様が糖尿病医療の将来に思いをはせ,「新しい糖尿病医療は自分が担う」という気概をもっていただくきっかけとなれば望外の喜びである.

文献
  • 1)池田義雄:いまなぜ「プラクティス」なのか.プラクティス,1:3,1984.

特集■新しい時代の糖尿病医療 ─予防・治療・啓発の将来像─

(扉)特集にあたって

 本田律子/虎の門病院 付属健康管理センター
 中神朋子/東京女子医科大学 内科学講座 糖尿病・代謝内科学分野
 岸本美也子/医療法人財団順和会山王病院 糖尿病内分泌代謝内科

1.1型糖尿病の発症予防 ─その動向と展望

 内田貴康/公益財団法人 冲中記念成人病研究所,虎の門病院 内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門)
 小林哲郎/虎の門病院 内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門)

2.2型糖尿病の発症予防 ─遺伝子情報の活用を通して

 安田和基/杏林大学医学部 糖尿病・内分泌・代謝内科学教室

3.新しい時代の1型糖尿病治療 ―再生医療の現状もふまえて

 坂野大介  粂 昭苑/東京工業大学 生命理工学院 生命工学系

4.新しい時代の2型糖尿病治療 ─食欲は制御できるのか?

 中里雅光/宮崎大学医学部医学科 生体制御医学研究講座,大阪大学蛋白質研究所

5.これからの糖尿病医療における医療者への啓発はどうあるべきか ―糖尿病専門医の立場から

 岸本美也子/医療法人財団順和会山王病院 糖尿病内分泌代謝内科

6.これからの医療,とりわけ糖尿病医療における一般への啓発はどうあるべきか —マスコミュニケーションの立場から

 田村建二/朝日新聞くらし報道部記者・編集委員(医療分野担当)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

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