第3回 夏目漱石と糖質制限─吾輩は甘党である─

2022.05.15
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連載:SPOT 歴史人物の病を量る
第3回 夏目漱石と糖質制限─吾輩は甘党である─
Vol.39 No.3(2022年5・6月号)pp.342-343

2022年5・6月号 目次

大川内幸代 Okawauchi, Sachiyo
医療法人豊田会 刈谷豊田東病院 内科

はじめに

 明治を代表する文豪,夏目漱石()は1867(慶応3)年,牛込馬場下横町の名主の五男として生まれた.本名は金之助.実家の経済的事情で里子や養子に出されるなど苦労があったが,9 歳で生家に戻り東京府立第一中学から東京大学予備門予科を経て帝国大学文科大学に入学,英文学を専攻した.卒後は松山中学教師,旧制第五高等学校教授などの職に就いたのち英国留学し,帰国後は東京帝国大学で英文学を講じた.37 歳で「吾輩は猫である」を執筆したのち「坊ちゃん」「三四郎」などで流行作家となった.華やかな執筆活動に対し,漱石は病気がちであり,神経衰弱と胃潰瘍には生涯悩まされ続けた.1910(明治43)年8 月には胃潰瘍の療養で滞在していた修善寺温泉で大量吐血し一時危篤に陥っている.死因も胃潰瘍からの出血であり,1916(大正5)年12 月9 日に死去.享年50 であった1)

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