6.ミトコンドリア脳筋症(MELAS)

2022.05.15
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糖尿病とミトコンドリア
─両者の多様な関係性と創薬の視点─
6.ミトコンドリア脳筋症(MELAS)
Vol.39 No.3(2022年5・6月号)pp.292-297

2022年5・6月号 目次

砂田芳秀 Sunada, Yoshihide
川崎医科大学 神経内科学

はじめに

 膵ランゲルハンス島 β 細胞からのインスリン分泌低下および肝臓や骨格筋などでのインスリン抵抗性亢進の要因としてミトコンドリア機能異常が注目されており,ミトコンドリア機能を改善する新たな糖尿病治療薬イメグリミンが上市された.ミトコンドリア異常と糖尿病発症を結びつけるプロトタイプといえる疾患がミトコンドリア遺伝子変異によるmaternally inherited diabetes with deafness(MIDD)であろう.しかし意外にも,m.3243A>G ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異がミトコンドリア機能異常を惹起する分子病態については知られていなかった.近年の研究により,この変異がミトコンドリアtRNA のアンチコドンにおけるタウリン修飾欠損を引き起こし,電子伝達系複合体蛋白の翻訳が障害されることが解明された.さらに,同一変異によるミトコンドリア脳筋症(MELAS)患者において,タウリン補充療法が脳卒中様発作を抑制することが明らかになった.タウリンは新たにミトコンドリア病治療薬に位置づけられ,MIDD を対象とした治験も進行中である.

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