5.GIP/GLP-1受容体作動薬への期待

2021.11.15
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特集■GLP-1受容体作動薬への期待:新規創薬からの更なる飛翔
─血糖値だけでない!その実力─
5.GIP/GLP-1受容体作動薬への期待
Vol.38 No.6(2021年11・12月号)pp.670-675

2021年11・12月号 目次

波床朋信 Hatoko, Tomonobu
原田範雄 Harada, Norio
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学

はじめに

 さまざまな糖尿病治療薬の開発とともに,臨床医による血糖コントロールは以前よりも,より安全かつより厳密にできるようになった.このような糖尿病治療の進展の一翼を担っているのがインクレチン関連薬である.インクレチン(INCRETIN,INtestine seCRETion Insulin)は食物摂取により消化管から血中に分泌され,膵 β細胞からのインスリン分泌を促進する消化管ホルモンの総称である.インクレチンは主に上部小腸に存在するK細胞から分泌されるgastric inhibitory polypeptide/glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)と,主に下部小腸・大腸に存在するL細胞から分泌されるglucagon-like peptide-1(GLP-1)が知られている.現在インクレチン関連薬としてdipeptidyl-peptidase 4(DPP-4)阻害薬とGLP-1受容体作動薬があり,両薬剤は単独での使用のみならずほかの経口血糖降下薬,インスリンとの併用療法において糖尿病治療の臨床の現場で広く使用されている.インクレチン関連薬は主にGLP-1の作用を主眼に開発されてきた.近年,GLP-1とGIPの双方の受容体に作用するGIP/GLP-1受容体作動薬の開発が進んでおり,現在世界中で臨床試験が行われている.本稿ではGIP/GLP-1受容体作動薬の特徴や効果についてGIPの生理作用とともに概説する.

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