第3回 HbA1c値はどのくらいを目指せばいいかと尋ねられたときは?患者背景によって異なるHbA1c値の意味

  • 児島 悠史 (薬局薬剤師・株式会社sing取締役・Fizz-DI代表)
2021.09.30
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 検査値に一喜一憂した経験は、誰しもがあるはずです。HbA1c値はテレビや雑誌などで紹介されることも多く、「正常値まで下げなければならない」と思い込んでいる人も珍しくありません。確かにHbA1c値というのは直近2~3ヶ月の血糖値の平均を反映しており、治療の目安となるものですが、正常値に近づければ近づけられるほどよい、というものでもありません。使っている薬や患者背景によって、その値が意味するところは大きく異なることがあります。
 そのため、どういったHbA1c値を目指すかは、その患者の年齢、病歴、糖尿病治療に用いている薬、併用薬、食生活・運動習慣、生活状況から考える低血糖のリスク、患者の価値観などから多角的に検討する必要があります。少なくとも、テレビでよく紹介されている「30を足したら体温と同じ」といった、健康な人向けの目安をそのまま色々な糖尿病患者に当てはめてしまうことは避けた方がよいでしょう。

 今回は、3つの視点からHbA1c値を捉え、そのうえで症例別ケースについて解説していきたいと思います。

ポイント① 健康な人と同じ寿命を確保する、という視点でのHbA1c値

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