第29回 高齢者糖尿病診療の特徴と注意点(3)
2018.01.15
はじめに
今回は高齢者に処方する経口血糖降下薬についてです。高齢者、特に75歳以上では新しいことを忘れやすく、予測できない変化に対して対応が後手に回る方が多いという特徴があります。従って、誤って二度服用してもまだ安全が担保されるような、二重の安全性が求められるところです。高齢者の肥満は薬剤選択に影響します。しかし当院での体組成測定装置での結果からも、骨格筋量が毎年減少し基礎代謝が低下していく方が多数を占めるのが明らかです。エネルギー消費が少ないため減量は難しい例をよく見かけます。体重が減らないのを食べ過ぎと決めつけて摂取エネルギーを控えると、蛋白質不足でサルコペニア(筋肉減少症)を助長するなど、壮年までとは違う指導をしなくてはいけません(文献1)。