第23回 GLP-1受容体作動薬(1)
2016.07.21
はじめに
今回はインクレチン関連薬の一つGLP-1受容体作動薬です。
人体におけるGLP-1は重要な生体ホルモンです。GLP-1は食事による血糖上昇に応じて、膵β細胞のインスリン分泌を促進する一方、血糖上昇作用のあるグルカゴン分泌を抑制します。また胃内容物排出を遅くし、かつ中枢性に過食を防ぐ作用もあります。ところが生体内ではGLP-1はDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)により半減期1~2分ほどの早さで分解され、効果はすぐ失われます。これの対応策は大きく2つに分けられます。まずこの悪玉DPP-4の活性を阻害して、生体内のGLP-1を長持ちさせようというのが、ご存じDPP-4阻害薬です。もう一方は、GLP-1の構造を分解されにくいように変えた、GLP-1受容体作動薬という注射薬です(文献1, 2)。まず発見の切っ掛けとなった、ドクトカゲの話からいたしましょう。