糖尿病の性比

  • 後藤 由夫 (東北大学名誉教授、東北厚生年金病院名誉院長)
2015.10.22
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 糖尿病が男性、女性のいずれに多いかについては定説がない。動物の自然発症糖尿病は雄だけに起こるもの、雌に多いものなど多様である。

 19世紀のヨーロッパの糖尿病の統計をみると、男性が多く女性が少ない。1861~1870年のイングランドとウェールズの糖尿病死亡数は男性4273人、女性2223人で1.9:1.0となっている。20世紀初頭のドイツの9つのクリニックにおける糖尿病患者の性比の平均を求めてみると2.4:1.0である。しかしながら1920年以後になると糖尿病は男性よりも女性に多くなる。つまり糖尿病は1920年頃までは男性に高頻度であったが、1930年頃から逆転し女性に多くなっている。この理由については誰も述べていない。筆者は当時の社会情勢の変化をもとに女性の社会的地位向上運動に伴う日常生活の変化が原因ではなかろうかと考えている。

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