1型糖尿病 -膵臓移植と再生医療の現状と将来-

  • 金澤 康徳 (自治医科大学名誉教授)
2013.07.25
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膵臓移植 世界と日本の現状

 近年のインスリン製剤の進歩は目覚ましく、1型糖尿病患者も適切な代謝コントロールが継続できるようになりました。しかしその一方、自己のインスリン分泌がほぼ完全に枯渇した症例や、自律神経障害をはじめとする各種合併症により血糖が不規則に変動する症例など、血糖管理に極めて難渋する患者さんが少なくありません。そのような患者さんのQOLは著しい高血糖と繰り返す重症低血糖のため非常に低下しています。特に睡眠中の重症低血糖には、就眠前「明日の朝は目が覚めないかもしれない」と日々不安に苛まれるといいます。実際、膵臓移植の待機中に亡くなった患者さんには、重症低血糖による死亡と診断された方が少なくありません。膵臓移植はこのような患者さんの生命予後とQOLを改善し得る現時点で最善の治療法です。欧米では既に年間数千件の膵臓移植・膵腎同時移植が行われており、1型糖尿病の確立された治療法と言っても過言ではありません。

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