GLP-1受容体作動薬「ウゴービ皮下注」が発売 肥満症治療薬として30年ぶりの新薬 最適使用推進ガイドラインに指定 ノボ

2024.02.29
 ノボ ノルディスク ファーマは2月22日、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬である「ウゴービ皮下注」(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))を発売した。

 ウゴービ皮下注の効能または効果は「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、▼BMIが27以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、▼BMIが35以上が該当する場合に限る」となっている。

「肥満症」の効能・効果のある新薬は30年ぶり

 ノボ ノルディスク ファーマは2月22日、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬である「ウゴービ皮下注」(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))を発売した。

 ウゴービ皮下注は、「肥満症」の効能または効果を有する医療用医薬品として発売される、約30年ぶりの新薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることにより、食事の量を減らしてカロリー摂取量を抑え、体重減少を促す。2023年3月に日本で承認を取得し、同年11月に薬価収載された。

 同剤は、日本人585人を含む5,085人の過体重または肥満の成人が参加したSTEP臨床試験プログラムの結果にもとづき、2023年3月に承認を取得していた。日本人が参加した東アジア試験(STEP 6試験)では、生活習慣の改善(食事療法・運動療法)だけでは十分な減量効果が得られない過体重または肥満の成人で、投与68週時に13%以上の体重減少を達成したとしている。また、肥満に関連する合併症(2型糖尿病・高血圧・脂質異常症)についても、ウゴービ皮下注2.4mgSDの投与により、血糖、血圧、脂質パラメータの改善が認められた。

* BMI 27以上の過体重、もしくはBMI 30以上の肥満患者。世界保健機関(WHO)の定義では、BMI 25以上が「過体重 (Overweight)」、BMI 30以上が「肥満 (Obesity)」。
 日本では、「肥満」は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数、BMI 25以上のものと定義されている。「肥満症」は、肥満があり、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されている。

 「日本ではGLP-1受容体作動薬は、肥満症治療薬および2型糖尿病治療薬が承認されており、ウゴービ皮下注は、2型糖尿病以外の、高血圧または脂質異常症のいずれかを有する肥満症患者に対しても効能または効果を有するGLP-1受容体作動薬として、はじめて薬事承認された肥満症治療薬となる」と、同社では述べている。

ウゴービ皮下注の効能または効果
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35以上

ウゴービ皮下注を「最適使用推進ガイドライン」に指定

 厚生労働省はウゴービ皮下注を「最適使用推進ガイドライン」に指定しており、「有効性および安全性に関する情報が十分蓄積されるまでのあいだ、この医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要」としている。

 ガイドラインは、医薬品医療機器総合機構、日本肥満学会、日本肥満症治療学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本内科学会の協力のもと作成されたもの。

対象となる医薬品 ウゴービ皮下注0.25mg SD、同皮下注0.5mg SD、同皮下注1.0mg SD、同皮下注1.7mg SD、同皮下注2.4mg SD〔一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)〕
対象となる用法および用量 通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として0.25mgから投与を開始し、週1回皮下注射する。その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mgおよび2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
製造販売業者 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

 同社によると、日本では約1,600万人が肥満症を抱えている一方で、医師により肥満症と診断されている人はわずか2.1%(33万人)にとどまる。

 同社では、「GLP-1製剤が不適正使用されていることを非常に懸念しております。ウゴービ皮下注を、最適使用推進ガイドラインに従って、確実に適正使用を推進していけるよう、規制当局、医療従事者および医療用医薬品卸売販売業者の皆さまと協力しながら、発売の初期段階において、『適正使用をより確実に推進すること』『新たな肥満症治療のモデルケース事例を積み上げていくこと』のために、段階的に活動させていただくことを、方針に掲げさせていただきます」と述べている。

 「肥満症は、遺伝的、身体的、心理的、社会経済的要因など、複合的な要因から成る疾患です。それゆえに、食事・運動療法のみでは効果的な減量を達成し、健康障害および健康障害リスクの改善を図ることが難しい場合が多く、薬物療法を含むさらなる医療介入が必要となります。肥満症治療によって、QOLの低下(および死亡率の増加)や社会的なコストの増加を引き起こす、多くの心血管疾患や深刻な慢性疾患のリスクが改善する可能性があります」と、同社では述べている。

 なお、「Wegovy」は、継続的な体重管理を適応として米国・デンマーク・ノルウェー・ドイツ・英国・アイスランド・スイス・アラブ首長国連邦ですでに販売されている(2024年2月)。

ウゴービ® 肥満症治療剤 持続性GLP-1受容体作動薬 (ノボ ノルディスク プロ)
TRUTH ABOUT WEIGHT肥満病を知る (ノボ ノルディスク ファーマ)

ウゴービ皮下注0.25mgSD/ウゴービ皮下注0.5mgSD/ウゴービ皮下注1.0mgSD/ウゴービ皮下注1.7mgSD/ウゴービ皮下注2.4mgSD 添付文書 医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

ウゴービ皮下注 ご使用に関するお願い

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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