2.糖尿病性腎臓病の病態生理と薬物療法 ─血行動態とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

2022.03.15
prev next
特集■糖尿病性腎臓病:守りから攻めへ
─ネフロン回復への号砲が鳴る─
2.糖尿病性腎臓病の病態生理と薬物療法
─血行動態とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
Vol.39 No.2(2022年3・4月号)pp.145-152

2022年3・4月号 目次

福田顕弘 Fukuda, Akihiro
柴田洋孝 Shibata, Hirotaka
大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座

はじめに

 世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており,2019年現在で糖尿病有病者数は4億6,300万人に上り,有効な対策を施さなければ,2030年までに5億7,800万人に,2045年までに7億人に増加すると予測されている.また,糖尿病性腎症(diabetic nephropathy:DN)を原疾患とする新規血液透析導入患者の数は2000年以降増え続けており,患者の生活の質(QOL)低下が問題となっている.さらに,2019年の糖尿病関連医療費は約83兆円で2017年から4.5%増加し,世界の主な国で全医療費の10%を占め,医療経済上も深刻な問題となっている 1).
 典型的なDNは,初期にはアルブミン尿は認めないが徐々に微量アルブミン尿が出現し,その後顕性蛋白尿を経て,急速な腎機能低下による末期腎不全に至る病態である.近年,糖尿病治療の進歩による糖尿病コントロールの改善,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬の使用,高齢化などにより微量アルブミン尿や蛋白尿を伴わずに腎機能が低下する非典型的な症例が増加しており,さまざまな臨床経過をたどる糖尿病がその病態に関与している慢性腎臓病を,包括して糖尿病性腎臓病(DKD)と呼ぶようになった.DKDの病態については解明されていない点も多く,本稿では典型的なDNにおける糸球体の血行動態の変化と,ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬の役割および効果について大規模臨床試験の結果も含めて概説する.

このコンテンツは糖尿病リソースガイドの有料会員登録後にお読みいただけます。

  • ・糖尿病・内分泌医療を中心に、新しい時代の臨床現場を支援する糖尿病・内分泌プラクティスWebの閲覧が可能
  • ・糖尿病プラクティス(2020~2022年・3年間分)の記事や、本サイトが厳選したスペシャルコンテンツが閲覧可能
  • ・メールマガジン週1回配信 最新ニュースやイベント・学会情報をもれなくキャッチアップ
  • ・糖尿病の治療に関するアンケートに参加可能、回答はメルマガやウェブで公開
  • ・その他、有料会員向けコンテンツ・サービスを企画中!乞うご期待ください

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

SGLT2阻害薬を高齢者でどう使うか 週1回注射のインスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防
糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病性腎症患者に対する療養支援 持続可能な糖尿病運動療法 苦労しています、服薬指導-短時間で患者の心を掴み、リスク回避! 進化する1型糖尿病診療 多職種連携による肥満治療
糖尿病と歯周病の最新エビデンス 甲状腺結節の日常臨床での取り扱い 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術の最新エビデンス- 骨粗鬆症 脂質異常症 コレステロール低下薬 がんと糖尿病
インスリンの種類と使い方 糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント[経口薬] インスリンポンプ・持続血糖測定器 血糖推移をみる際のポイント
糖代謝の調節機構 脂質の代謝 リン酸化によるシグナル伝達 タンパク質とアミノ酸の代謝

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新特集記事

よく読まれている記事

関連情報・資料