3.糖尿病性腎臓病の病態生理と薬物療法 ─尿細管再吸収とSGLT2阻害薬
2022.03.15
特集■糖尿病性腎臓病:守りから攻めへ
─ネフロン回復への号砲が鳴る─
3.糖尿病性腎臓病の病態生理と薬物療法
─尿細管再吸収とSGLT2阻害薬
Vol.39 No.2(2022年3・4月号)pp.153-159
─ネフロン回復への号砲が鳴る─
3.糖尿病性腎臓病の病態生理と薬物療法
─尿細管再吸収とSGLT2阻害薬
Vol.39 No.2(2022年3・4月号)pp.153-159
久米真司 Kume, Shinji
滋賀医科大学 糖尿病内分泌・腎臓内科
はじめに
糖尿病性腎臓病はわが国における透析導入原疾患第1位の疾患であり,その克服は喫緊の課題である.インスリンの発見以降,糖尿病診療は急速な発展を遂げ,多くの糖尿病患者の腎予後改善がもたらされた.その後も糖尿病性腎臓病の病態解明は進み,本疾患が高血糖による代謝障害だけでなく,レニン・アンジオテンシン系(RAS)の異常活性化に伴う糸球体過剰濾過といった血行動態的異常により引き起こされることも明らかとなった.その臨床的裏づけとして,2001年には,RENAAL試験とIDNT試験により,RAS阻害薬の抗蛋白尿作用を示すエビデンスも発表された 1, 2).これらを背景に,厳格な血糖管理に加え,RAS阻害薬を用いた血圧管理,糸球体過剰濾過の是正が,蛋白尿を主体とする典型的な糖尿病性腎臓病の治療戦略の中心的位置づけとなり,この20年間で糖尿病性腎臓病の予後は飛躍的に改善した.糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル
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