5.腎代替療法:最新の動向 ─透析医療と移植医療
2022.03.15
特集■糖尿病性腎臓病:守りから攻めへ
─ネフロン回復への号砲が鳴る─
5.腎代替療法:最新の動向
─透析医療と移植医療
Vol.39 No.2(2022年3・4月号)pp.167-174
─ネフロン回復への号砲が鳴る─
5.腎代替療法:最新の動向
─透析医療と移植医療
Vol.39 No.2(2022年3・4月号)pp.167-174

辻本吉広* 1 Tsujimoto, Yoshihiro
繪本正憲* 2 Emoto, Masanori
* 1 社会医療法人愛仁会井上病院 腎臓・透析部門
* 2 大阪市立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学
はじめに
日本透析医学会の報告によると,わが国における透析導入の原疾患で糖尿病が占める割合は年々増加傾向を示していたが,最近はやや減少傾向に転じている.国を挙げての糖尿病や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)対策や,糖尿病性腎症に対する集学的な治療の効果を反映している可能性もある.しかし依然として透析導入となる原疾患の第1位であり,治療の甲斐なく腎代替療法が必要になる糖尿病性腎臓病患者が多く存在する.
血液透析・腹膜透析・腎移植にはそれぞれメリット・デメリットがあるが,逆にいえば選択肢がたくさんあるということになる.糖尿病性腎症から末期腎不全状態になった際に,各患者に合った腎代替療法を適切に選択したうえで治療を開始することは,その後の予後や生活の質(quality of life:QOL)をよりよいものに変えることができる.現在のわが国の糖尿病性腎臓病患者の腎代替療法の現況を述べ,最近の腎代替療法の話題,そして各腎代替療法において糖尿病性腎臓病患者のよりよい予後およびQOLを目指すために取り組むべきチーム医療について述べる.