5.高齢者糖尿病の薬物療法

2022.01.15
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特集■高齢者糖尿病診療 Update
─「高齢者糖尿病治療ガイド 2021」を読み解く─
5.高齢者糖尿病の薬物療法
Vol.39 No.1(2022年1・2月号)pp.039-048

2022年1・2月号 目次

庄嶋伸浩 Shojima, Nobuhiro
山内敏正 Yamauchi, Toshimasa
東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科

はじめに

 高齢者糖尿病の特徴は,腎機能障害,心不全,心血管疾患,脱水,骨粗鬆症,認知障害などが併存し,薬剤の副作用を増強させる.スルホニル尿素(SU)薬やインスリンは低血糖を起こしやすく,転倒やふらつき,心血管疾患につながりやすい.そのため,低血糖を起こさない薬物療法が望まれる.DPP-4阻害薬は副作用が少なく使いやすい.一方,SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は心血管疾患に有効であるが,75歳以上の高齢者や老年症候群を合併する高齢者においてのエビデンスが少ないため,処方に際しては慎重な判断が必要である.高齢者の病態や重症度は多様であるため,認知機能,生活機能,心理状態,栄養状態の評価を基に,合併症・併発症の予防や抑制の効果,QOLに加えてほかの併用薬剤,社会・経済状況,アドヒアランスなども考慮して患者および家族や医療スタッフなどとのシェアード・ディシジョン・メイキング(共有意思決定)により治療目標を決定したうえで,個別のケアと薬剤を選択する必要がある.脳・心血管疾患の合併や薬剤コストに加えて,特に安全性を重視した薬剤選択が重要である(表1,図11〜3)

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