歯周病と糖尿病の相互関係
2022.07.10

新城尊徳 Shinjo, Takanori
九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 歯周病学分野
はじめに
歯周病は,歯周病原細菌感染に伴う炎症によって歯をささえる骨(歯槽骨)や歯ぐき(歯肉)といった歯周組織が破壊され,結果として歯の動揺や喪失をきたす口腔感染性疾患である(図1).糖尿病患者では,歯周病の罹患率は非糖尿病者よりも高く,重症化しやすいことが広く知られているが,その一方で重症化した歯周病は血糖コントロールやほかの糖尿病合併症に悪影響をもたらすことも,多くの臨床研究より明らかとなってきている.本連載では,このように結びつきが強いとされる歯周病と糖尿病の相互関係について,「糖尿病→歯周病」「歯周病→糖尿病」「歯周病→糖尿病のメカニズム」の3回にわたって概説する.