第6回 「低血糖」の人それぞれ多様な症状、対応はどうする?個々の患者さんに合わせた具体的な指導を
2022.01.31
糖尿病治療において、「低血糖」は常に注意しなければならない副作用の一つです。低血糖は、めまいやふらつき、冷や汗といった不快な症状を引き起こすだけでなく、転倒や事故の要因にもなるほか、重いものになれば命を脅かすこともある危険な症状です。そのため、日常業務の中でも「低血糖に気をつけてください」といった注意喚起をする機会は非常に多いと思います。
しかし、我々医療従事者は「低血糖」と聞くだけで、それが具体的にどう怖いのか、どんな症状として現れるのか、といったことが細かく思い浮かびますが、患者さんの場合も必ずそうとは限りません。場合によっては、「低血糖という言葉はよく聞くけれど、実際どんな症状が現れるのかはよくわからない」という認識のまま治療を行っているケースもあります。このような状況では、いくら「低血糖はありませんか」と尋ねたところで有益なやりとりにはなり得ません。
そこで今回は、そんな低血糖の多様な症状の実態を考えながら、個々の患者さんの価値観や生活状況までを踏まえた、具体的な注意喚起や聞き取りをできるように考えていきたいと思います。