第40回 インスリンとGLP-1受容体作動薬の新配合薬
2020.10.15
■はじめに
20年前、私がインスリン分泌不全の患者の血糖コントロールを良くしようと思ったら、 basalとbolusを使用する強化インスリン療法(1日3~4回注射)が定番でした。しかし2003年持効型インスリンのグラルギン(ランタスⓇ)が出た後、経口血糖降下薬(OHA)に1日1回basalインスリンを併用する「BOT(Basal supported oral therapy)療法」がメーカーのキャンペーンもあり推奨されました。しかしインスリンを増やしたり、併用薬を増やしても食後高血糖が抑制できない症例が数多く見られます。かといって1回注射を3、4回に増やす「抵抗感」は、初めてインスリン注射をした時以上に強く、これは患者だけでなく医師の意識の中でも大きな障害となるとの問題をいつも感じていました。