Vol.13 オンライン診療って、どんな感じ? 血糖記録アプリを用いた実例
定期的な通院が必要な糖尿病治療において、オンライン診療は、治療を継続するための医療サービスの1つと考えます。オンライン診療のしくみが、よくわからないという方向けに、当院での例を参考にご説明します。
オンライン診療の登場
オンライン診療は、2018年に初めて登場しました。それまでは「遠隔診療」といって、主に対面診療が難しい離島やへき地での利用を対象としていましたが、スマートフォンなどのICT技術の進歩とともに、都市部の利用が検討されていきました。当院(関東労災病院)では、2012年よりオンライン診療の実証研究に参加しています。
オンライン診療の様子

*オンライン診療に活用できるサービスやアプリは他にもあります。
当院では、現在、「e-SMBG」という糖尿病管理システムを利用して、妊娠糖尿病患者を対象にオンライン診療を実施しています(右記)。
管理栄養士がオンラインで栄養相談を行い、情報通信機器を用いた外来栄養食事指導料を算定することもできます。
オンライン診療が適した患者
糖尿病患者におけるオンライン診療では、主治医あるいは医療スタッフと対面診療において良好なコミュニケーションがとれており、ある程度症状が安定している患者が対象と考えます。ケトアシドーシスなどの急変時や、合併症でこれまでにない症状が出現した際は、対面診療に切り替える必要があります。
当院がオンライン診療を行っている妊娠糖尿病患者の場合、産科と内科の両方で定期的な検診・受診が必要です。それぞれの診療科を別日に予約すると通院が大変になりますし、同日に予約すると病院滞在時間が長く体に負担をかけることが懸念となっていました。オンライン診療を取り入れてからは、仕事の休憩時間や、移動中の車の中など、時間や場所を選ばず受診してもらえます。また、妊娠糖尿病は、産後に糖尿病を発症するリスクが高いためフォローアップが肝要です。オンライン診療を取り入れることで、そうした体制がとりやすいのもメリットと感じています。