Vol.12 GLP-1受容体作動薬の基本 薬のしくみや使い方をきちんと伝えられますか?
2022.11.14
糖尿病治療でよく処方される「GLP-1受容体作動薬」。これまでの注射剤に加え、最近では経口剤が登場しました。単剤では低血糖や体重増加を起こしにくいなど優れた薬剤ですが、特に経口剤は服用方法が複雑です。基本を復習しておきましょう。
インクレチンの働きと薬の作用
臨床でよく耳にする「GLP-1」は、正しくは「GLP-1受容体作動薬」といい、2010年に 日本で初めて発売され、現在では5つの注射剤と、2020年に登場した経口剤1剤があります。先に発売されたDPP-4阻害薬とあわせて「インクレチン関連薬」と呼ばれます。
インクレチンとは、食事に含まれる栄養素に刺激されて小腸から分泌されるホルモンのことで、GLP-1はその1つです。血糖依存的に膵臓からのインスリン分泌を促すほか、グルカゴン分泌を抑制して血糖値を下げます。
しかし、GLP-1は血中のDPP-4という酵素によってすぐに分解されてしまいます。この DPP-4によるGLP-1の分解を妨げる働きをするのが「DPP-4阻害薬」です。一方、「GLP-1受容体作動薬」は、DPP-4に分解されにくいようにつくられたGLP-1アナログ製剤です。いずれの製剤も血糖値が上がった時にだけ作用する(血糖依存性)ため、単剤では低血糖を起こしにくいとされています。インスリン分泌能が残っている2型糖尿病患者に使用します。