第7回 糖尿病治療における体重管理の重要性
糖尿病治療における体重管理
糖尿病の治療において、体重管理は非常に重要な要素と言えます。これは特に2型糖尿病の患者さんにとって、血糖値のコントロールに直結する重大な課題となります。適切な体重の維持により、インスリンの効果が最大限に引き出され、血糖値の安定化が可能となります。その結果、糖尿病による合併症のリスクを低減することができます。
食事管理
体重管理の一つの要素として、「食事管理」は大変重要です。適切なカロリー摂取とバランスの良い食事は、体重の管理に欠かせません。特に、食物繊維やビタミンを豊富に含む食事は、血糖値の上昇を緩やかにするため、重要となります。また、食事の内容だけでなく、タイミングも血糖値に大きな影響を与えます。食事の間隔が長すぎると血糖値が急激に変動する可能性があるため、一定の間隔を保つことが推奨されます。
運動習慣
次に、「運動習慣」も体重管理にとって大切な要素です。適度な運動は、体重管理だけでなく、インスリンの効果を高めることで血糖値を下げる効果もあります。ただし、運動による効果は個々の体質や健康状態によりますので、患者さんと医療専門家とで相談しながら適切な運動メニューを作成することが重要です。
生活習慣の見直し
加えて、「生活習慣の見直し」も糖尿病の管理に重要なポイントです。特にアルコールの摂取や喫煙、清涼飲料水(糖質を含むもの)、間食(果物も含む)は、体重に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらの習慣は血糖値を不安定にするだけでなく、体重増加を引き起こす可能性もあるため、見直すことが推奨されます。
BMIと2型糖尿病の薬剤選択
日本糖尿病学会では、2022年に「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表し、作成のコンセプトとして、日本人の糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンスと日本での処方実態を勘案してきました。 具体的には、「Step 1」として病態(非肥満と肥満)に応じた薬剤選択としました。日本における肥満の定義は body mass index(BMI)25 kg/m2 以上であり、2型糖尿病の薬剤選択においては BMI を評価することが推奨されました。肥満度(BMI)とインスリン抵抗性には 正相関があるため、肥満度が高い症例ではインスリン抵抗性の2型糖尿病の病態への寄与度が高いと考えられ、それに合った薬剤選択を考慮していきます。体重管理の重要性をこのコラムでは焦点を置いて書いてきましたが、学会により、それが明確にされたことは大きなポイントになります。
以上のように、体重管理は糖尿病の治療において重要な要素であり、適切な食事、運動、生活習慣の見直し、体重を重視した薬剤選択が必要です。しかし、個々の体質や健康状態によりますので、患者さんと主治医とで相談しながら行うことが最善です。