新規2型糖尿病患者を対象としたメトホルミン・SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬の3剤併用療法 HbA1c低下・忍容性・安全性がより高い結果に
メトホルミン・SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬の3剤併用療法はより忍容性と安全性が高い
新規に診断された2型糖尿病患者を対象とした、メトホルミン、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬の3剤の併用による治療は、メトホルミンから開始し段階的に薬剤を追加する治療に比較し、HbA1cを効果的に低下させ、忍容性と安全性はより高いことが、105人を対象とした104週間の試験で示された。
研究は、韓国の高麗大学医学部内科学のNam Hoon Kim氏、Sin Gon Kim氏らによるもの。研究成果は「Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載された。
研究グループは2018~2022年に、韓国の9施設で実施されている多施設ランダム化比較試験(RCT)である「TRIPLE-AXEL試験」に参加した、新規に2型糖尿病と診断されたHbA1cが8.0%以上11.0%未満の患者105人を、メトホルミン、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン)、DPP-4阻害薬(サクサグリプチン)の3剤を併用する群(TCT群)と、メトホルミンから開始し、段階的にSU薬(グリメピリド)、DPP-4阻害薬(シタグリプチン)を追加する群(SAT群)に無作為に振り分けた。
ベーラインの患者背景は、平均年齢が49.5歳、男性が67.6%、BMIが27.5、HbA1cは9.3%(9.0%未満が37.1%、9.0~11.0%が62.9%)、併存疾患は脂質異常症が47.6%、高血圧が39.0%、冠動脈疾患が5.7%だった。
主要評価項目は、104週目の低血糖、5%以上の体重増加、あるいは有害事象による薬剤の中止なしにHbA1c値6.5%未満を達成した患者の割合とした。
その結果、104週時点のHbA1cのベースラインからの改善幅は、SAT群はマイナス2.75%[95%CI マイナス3.06~マイナス2.44%]、TCT群はマイナス2.56%[同 マイナス2.87~マイナス2.24%]となり、両群で同様だった。104週時点でHbA1cが6.5%未満だった患者も、TCT群とSAT群の両方で46.3%だった。
一方で主要評価項目は、TCT群では39.0%、SAT群では17.1%で達成され、リスク差は22.0ポイントとなり、3剤併用療法のTCT群が上回った[95%CI 3.0~40.8、P =.027]。
低血糖、5%以上の体重増加、薬剤の中止がそれぞれ発生しなかった患者の割合は、TCT群で83.3%、SAT群で38.0%になり、3剤併用療法は忍容性がより良好で、有害事象も少ないことが示された[リスク差 45.3%、95%CI 28~62.4%、P<0.001]。
「新規に2型糖尿病と診断された患者で、初回からメトホルミン、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬の3剤を併用することで、より高い忍容性と安全性が得られ、HbA1cも効果的に低下した。このことは、2型糖尿病の初回からの併用療法の新しい戦略のあり方を示唆している」と、研究者は述べている。
韓国糖尿病学会の2017年の糖尿病に関するファクトシートによると、もっとも頻繁に処方されている糖尿病治療薬はメトホルミン(86.8%)で、次いで DPP-4阻害薬(61.8%)、SU薬(45.5%)、チアゾリジン薬(11.2%)、SGLT2阻害薬(7.0%)となっている。