正木浩哉先生セミナー記事『日本臨床内科医会「かかりつけ医のためのWEB講座」』(第2回)を公開
※Shared Decision Making
協力:株式会社ヴァンティブ

腹膜透析における「地域医療連携」の大切さを解説

年々、増加傾向にある慢性腎臓病。糖尿病はその代表的原因疾患であり、1998年以降、糖尿病性腎症が透析導入となる原因の第一位となっている。この状況を受けて開設した慢性腎臓病の特集コーナー(2024年6月開設)において、正木浩哉先生のセミナーレポート記事『日本臨床内科医会「かかりつけ医のためのWEB講座」第2回:地域連携ではじめる腹膜透析診療』を新たに公開した。
腎不全の高齢患者の増加で腹膜透析(PD)のニーズが高まるにつれ、「支援型PD(アシストPD:Assisted PD)」の需要もますます増えていくことが予想される。今回は、高齢者のPD診療において特に重要となる「地域医療連携」や、かかりつけ医が初めてPD患者を診る際の「わからない」を解決する手段をわかりやすく解説する。
高齢腎不全患者の腹膜透析と地域医療連携
以下、記事の一部を引用。
<<腹膜透析(以下PD)は、腎代替療法の中では心循環器系への負担が少なく、血圧の変動や不均衡症候群等のトラブルが起こりにくい治療法です。また、処方の自由度が高く透析前と同じような生活を維持しやすいとされています。血液透析(以下HD)に比べて通院の頻度が少ないことも利点のひとつ。HDの場合は毎週決まった曜日・時間に通院が必要ですが、PDは月に1〜2回の通院で済みます。
「PDは1日4回のバッグ交換が必要」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。高齢者の場合は1日1回で十分であることが多く、週に1〜2日は交換を行わない「PD Holiday」を設定することも可能です。交換の時間帯も生活に合わせて自由に選べます。それから、HDの患者さんが通院できなくなった場合には入院透析が必要となり、病院で最期を迎えるケースがほとんどですが、PDの患者さんは訪問診療や訪問看護を利用することで看取りのときまで自宅や施設で過ごせます。このように、PDは高齢の患者さんにとって様々なメリットがあります。
問題は、ADLや視力の低下、合併症、認知症などにより、患者さん自身でPDを管理できないケースです。しかしそのよう場合は、家族や看護師さんなどの介助によって行う「支援型PD(アシストPD:Assisted PD)」により、PDの開始・維持が可能となります。そしてこの支援型PDに欠かせないのが、「地域医療連携」です。>>
(続きは下記リンク先から、無料で閲覧できます)
●集中連載インタビュー
『日本臨床内科医会「かかりつけ医のためのWEB講座」第2回:地域連携ではじめる腹膜透析診療』
<『第2回:地域連携ではじめる腹膜透析診療』内容>
- 高齢者にとってメリットの多い腹膜透析
- 支援型PDに不可欠な「地域医療連携」
- 要介護5でも、地域連携により自宅でPDの継続は可能
- PD診療の「わからない」を解決する制度、ツール、サポート
- 困ったら「在宅腹膜透析を支える会」に気軽に相談を
- かかりつけ医によるPD診療への期待
<正木浩哉 先生プロフィール>
1986年に関西医科大学を卒業後、内科に入局。1994年より約3年間米国シンシナティ大学薬理・細胞物理学教室にて細胞の再生やイオンチャンネルの基礎研究を行う。1997年に関西医科大学に戻り、腎臓、内分泌分野をメジャーとして臨床、教育、研究に従事。2007年関西医科大学附属滝井病院 臨床検査部 病院教授、同病院 腎臓内科科長。2016年同病院 透析センターセンター長。同年、祖父が開業した正木医院に入り、現在に至る。
腎臓病に関する資料が無料でダウンロード可能
本特集では、インタビュー記事のほか、腎臓病の治療や診療支援に役立つ以下の資料が入手できるページも設置。無料でダウンロードできるので、ぜひ利用してほしい。
- 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 岡本 卓 先生(愛し野内科クリニック 院長)』
- 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 佐藤克哉 先生(猿払村国民健康保険病院 院長JSPD連携認定医)』
- 『腎不全 治療選択とその実際2024』
- 『腎臓病 あなたに合った治療法を選ぶために』
- 『あなたの腎臓を守るために』
- 『腎不全治療説明用下敷き(A3版)』
本特集コーナーは今後さらにコンテンツを充実させ、様々な情報を届ける予定である。また、本特集は糖尿病リソースガイド内のコーナーだが、患者向けに糖尿病ネットワークでも腎臓病の特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を設けており、引き続き医療者側と患者側の双方で腎臓病に対する知識の底上げができるよう図っていく。