2型糖尿病患者は敗血症リスクが2倍

2025.10.14
2型糖尿病患者は糖尿病のない対照群に比べて敗血症リスクが2倍に上るという研究結果が、欧州糖尿病学会年次総会(EASD2025、9月15~19日、オーストリア・ウィーン)で発表された。西オーストラリア大学のWendy Davis氏らの研究によるものであり、喫煙や糖尿病以外の慢性疾患の併存などは、2型糖尿病患者の敗血症リスクをさらに高めるという。

 敗血症はさまざまなタイプの感染症罹患に伴い発症することが多く、多臓器不全などの重篤な状態に至りやすい。敗血症患者の10%以上が死亡するというデータがあり、世界の主要な死因の一つとなっている。またこれまでの研究で、2型糖尿病患者は敗血症リスクが2~6倍高いことが報告されている。ただし、背景因子等を詳細に調整した最新のデータは少ない。

 Davis氏らの研究は、オーストラリアの一般住民対象の縦断的観察研究(フリーマントル糖尿病研究フェーズII)の一環として実施された。2008~2011年の研究参加登録の時点で2型糖尿病を有していた成人患者1,430人を特定した上で、年齢、性別、居住地域をマッチングさせた2型糖尿病でない5,720人の対照群を設定。敗血症発症率と関連因子を検討した。登録時点における平均年齢は66歳で、男性52%であり、2型糖尿病群では敗血症による入院歴が2.0%に見られ、対照群でのその割合は0.8%だった。

 平均10年(7万3,139人年)の追跡で、2型糖尿病群の169人(11.8%)と対照群の288人(5.0%)が敗血症を発症した。年齢層別に解析すると、2型糖尿病群でのみU字型の関係が示された。全体として発症率比は2.38であり、年齢、性別、敗血症による過去の入院歴、2型糖尿病以外の慢性疾患などの潜在的な交絡因子を調整した後も、2型糖尿病であることは敗血症リスクが2倍高いことと関連していた(ハザード比2.16)。

 このほか、2型糖尿病群では、年齢(41~50歳で特にハイリスク)、男性、現喫煙、インスリン療法中、遠位性対称性多発神経障害、脳血管疾患、空腹時血糖値、心拍数、loge NT-proBNP、および、アボリジニ系であることが、敗血症リスクと関連していた。

 これらの結果を基にDavis氏は、「地域住民の大規模な成人サンプルに基づくわれわれの研究により、2型糖尿病患者は敗血症を発症するリスクが高いことが分かった。また、敗血症とは関連のない死亡という競合リスクによって関連性が過大評価される可能性があるが、本研究ではそのリスクと潜在的な交絡因子を調整後にも、両者の間に強い関係性が認められた」と総括している。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

(HealthDay News 2025年9月26日)

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