経口GLP-1受容体作動薬orforglipron 経口セマグルチドに対して優越性 2型糖尿病治療薬として2026年に承認申請へ イーライリリー

Orforglipronは、イーライリリー・アンド・カンパニーが開発中の1日1回投与型の経口低分子(非ペプチド型)GLP-1受容体作動薬。時間を問わず飲食や飲水の制限なく服用可能な薬剤となっている。
ACHIEVE-3試験は、メトホルミンでは血糖管理が不十分な2型糖尿病のある成人を対象とし、米国、アルゼンチン、中国、日本、メキシコ、プエルトリコで登録された1,698名に対して行われた非盲検無作為化第Ⅲ相試験。参加者は、orforglipron 12mg群、36mg群、経口セマグルチド 7mg群、14mg群の4群(1:1:1:1)に割り付けられ、52週間にわたり投与を受けた。Orforglipronの投与は1日1回1mgから、経口セマグルチドの投与は1日1回3mgから開始し、両剤とも4週ごとに段階的に増量して各維持用量に到達した。本試験の主要目的は、orforglipronが経口セマグルチドに対して、服用開始52週後のベースラインからのHbA1c低下で非劣性を示すことであった。
試験の結果、orforglipronは主要評価項目と全ての主な副次評価項目を達成し、経口セマグルチドとの比較で優越性を示した。有効性estimandを用いた評価において、52週時点でのHbA1cの低下は、orforglipron 12mg群で-1.9%、36mg群で-2.2%、経口セマグルチド 7mg群で-1.1%、14mg群で-1.4%であった。副次評価項目であるHbA1c 5.7%未満達成率は、orforglipron 36mg群で37.1%、経口セマグルチド 14mg群で12.5%であった。また、体重減少についても、orforglipron 12mg群で6.7%(6.6kg;14.6ポンド)、36mg群で9.2%(8.9kg;19.7ポンド)であったのに対し、経口セマグルチド 7mg群では3.7%(3.6kg;7.9ポンド)、14mg群では5.3%(5.0kg;11.0ポンド)であり、最高用量群間の比較でorforglipronが73.6%優れる体重減少がみられた(9.2% vs 5.3%)。
Orforglipronは、non-HDLコレステロール、収縮期血圧やトリグリセリドといった心血管系疾患のリスク因子についても改善を示した。安全性については、消化器系の有害事象が最も多く報告されたが、いずれも軽度〜中等度であり、全般的な安全性および忍容性はこれまでの試験と同様であった。有害事象による投与中止は、orforglipron 12mg群で8.7%、36mg群で9.7%、経口セマグルチド 7mg群で4.5%、14mg群で4.9%であった。
本試験の詳細な結果は、今後学会で発表され、査読論文誌に掲載される予定となっている。イーライリリー・アンド・カンパニーは、2型糖尿病治療薬としてのorforglipronの世界各国における承認申請を2026年に行う予定としている。