メトホルミンは運動による血管インスリン感受性改善作用を減弱させる

メトホルミンは酸化ストレスを軽減するが、その作用の一部は、ミトコンドリア内の複合体Iの機能を部分的に阻害することが関与している。この機序は、理論的にはアデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性を抑制して、血管インスリン感受性の適応を鈍化させる可能性がある。実際、それを示唆する研究もわずかではあるが報告されている。ただし、低強度運動では通常、AMPKはあまり活性化されない。よってメトホルミンによる運動効果への影響は、運動強度によって異なる可能性もある。これを背景にMalin氏らは、運動効果に対するメトホルミンの影響を、運動強度の異なる2条件で検討した。
この研究は、メタボリックシンドロームのリスクを有する成人を対象とする、二重盲検プラセボ対照比較試験として実施された。研究参加者はランダムに、以下の4群に割り付けられた。低強度(最大酸素摂取量〔VO2max〕の55%)の運動を週5回+プラセボ支給群(22人)、同様の低強度運動+メトホルミン(2,000mg/日)支給群(21人)、高強度(VO2maxの85%)の運動を週5回+プラセボ支給群(24人)、同様の高強度運動+メトホルミン(前記と同量)支給群(24人)。
介入期間は16週間とした。介入の前後にVO2maxを測定するとともに、120分間のグルコースクランプ法により全身のインスリン感受性を測定した。また、血管インスリン感受性の評価のため、大血管については上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD)、微小血管については造影超音波検査による血流量(MBF)を、インスリン刺激の前後で測定し比較した。これらのほかに、体組成、エンドセリン-1(ET-1)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)なども測定した。
解析の結果、VO2maxはプラセボを支給した2群は介入後に有意に向上していた。それに対してメトホルミンを支給した2群はいずれも有意な変化がなかった。体脂肪率は高強度運動を行った2群は有意に低下し、低強度運動を行った2群は有意な変化がなかった。また、FMDやMBFの検討から、運動による血管インスリン感受性の改善作用は、プラセボを支給した2群に比較しメトホルミンを支給した2群は有意に抑制されていた。このほか、メトホルミンは、運動による空腹時血糖値の低下、ET-1およびTNF-αの抑制効果を減弱していた。
以上一連の結果に基づき著者らは、「運動はその強度にかかわらず、血管機能を改善させた」としつつ、「メトホルミンは運動による炎症反応や血糖値の抑制、および、運動による大血管と微小血管のインスリン感受性の改善を、いずれも鈍化させた」と結論付けている。
[HealthDay News 2025年11月18日]
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