食後高血糖がアルツハイマー型認知症のリスクと関連

2026.02.09
食後高血糖がアルツハイマー型認知症のリスクを高める可能性があることを示すデータが報告された。この関連性は、全脳体積や白質の変化では説明できないものだという。英リバプール大学のAndrew C. Mason氏らの研究の結果であり、詳細は「Diabetes, Obesity and Metabolism」に12月12日掲載された。

 疫学研究により、高血糖、2型糖尿病、インスリン抵抗性などが、認知症リスクの上昇を含む脳の健康状態の悪化と関連することが示されている。しかし、そのメカニズムには不明点が多く、直接的な因果関係が存在するかどうかも明らかでない。一方、近年では空腹時血糖値、空腹時インスリン値、糖負荷2時間後血糖値(2hPG)といった糖代謝関連指標について、遺伝的背景との関係を検討することが可能となってきている。これにより、糖代謝異常と認知症との関連や、その基盤となるメカニズムをより詳細に解析できる環境が整いつつある。こうした背景の下、Mason氏らは、英国の一般住民を対象とした大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いた検討を行った。

 この研究では、観察研究の弱点である残余交絡や逆因果関係の影響を受けにくい2標本メンデルランダム化解析(2SMR)を実施した。解析対象は35万7,883人で、平均年齢56.9±8.0歳、女性54%、BMI27.4±4.8、脳卒中の既往2.6%だった。遺伝的素因に関して、インスリン抵抗性関連の53変異、空腹時血糖値関連の109変異、空腹時インスリン値関連の48変異、2hPG関連の15変異を採用し、変異と転帰との関連は10個の主成分(PCs)を調整した上で解析した。

 2SMR解析の結果、2hPGが高いことが、アルツハイマー型認知症のオッズ比(OR)上昇と関連していた。具体的には、主解析に用いた逆分散重み付け法(IVW)でOR1.69(95%信頼区間1.38~2.07)、感度分析に用いた加重中央値推定法(WME)でOR1.66(同1.25~2.20)だった。つまり、2hPGの高さは、全脳体積や海馬体積の萎縮などとは独立して、アルツハイマー型認知症のリスクを高める可能性が示唆された。また2hPGは、認知症全体(あらゆる原因による認知症)との関連も有意だった(IVWでのOR1.23〔1.06~1.42〕)。ただし血管性認知症との関連は非有意だった。

 2hPG以外に検討した、インスリン抵抗性、空腹時血糖値、空腹時インスリン値についてはいずれも、全脳体積、海馬体積、白質高信号病変体積との関連が見られなかった。なお、2hPGとアルツハイマー型認知症との関連の再現性をゲノムワイド関連解析(GWAS)で検討した結果、この関連は再現されなかった。

 Mason氏は、「われわれの研究結果は、血糖値の全体的な管理だけでなく、特に食後の血糖値を管理することの重要性を示している。この知見は、今後のアルツハイマー型認知症予防戦略の確立に役立つのではないか」と述べている。

 なお、1人の著者がアストラゼネカ社と利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2026年1月21日]

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