SGLT2阻害薬でCKDリスク・AKI発生が有意に低下 GLP-1受容体作動薬との比較

2型糖尿病治療において、SGLT2阻害薬(SGLT2i)とGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)はいずれも腎予後への影響が報告されており、現在のガイドラインでも推奨されているが、急性および慢性の腎疾患を減少させる上での相対的な有効性は明らかではなかった。そこで研究グループは、日常診療におけるSGLT2iとGLP-1RAの急性および慢性腎転帰に対する有効性を比較することを目的に、本研究を実施した。
本研究は、デンマークの全国的な医療データベース(2014年1月~2020年11月)を用いた、ターゲットトライアルのエミュレーションデザインによる比較有効性研究である。対象は、メトホルミンによる治療を受けている18歳以上の2型糖尿病患者で、SGLT2iまたはGLP-1RAの新規処方を受けた者とした。過去にこれらの薬剤の使用歴がある者、1型糖尿病、慢性透析歴、腎移植、eGFR 30mL/min/1.73m²未満、または顕性アルブミン尿(UACR 300mg/g以上)を有する者などは除外された。
主要評価項目は、慢性腎臓病(CKD)と急性腎障害(AKI)の2つと定義された。CKDは、eGFRの40%低下(90日以上持続)、腎不全(透析、移植、またはeGFR 15mL/min/1.73m²未満の持続)、または顕性アルブミン尿(UACR 300mg/g超が90日以上持続)の複合転帰とされた。AKIは、血漿クレアチニンの絶対的または相対的な上昇によって定義された。解析には、44の共変量を含む傾向スコアを用いた逆確率重み付け法(IPTW)を適用し、治療群間の背景因子を調整した。
研究には、SGLT2iを開始した36,279例と、GLP-1RAを開始した18,782例が組み入れられた。SGLT2i群はGLP-1RA群と比較して、年齢中央値が高く(63歳 vs. 61歳)、男性の割合が高く(64% vs. 58%)、肥満症の割合が低かった(13% vs. 23%)が、糖尿病罹病期間、eGFR、UACRなどは同等であった。
重み付け後の5年間のCKDリスクおよびAKI発生数は、SGLT2i群で有意に低かった。具体的には、CKDの5年リスクはSGLT2i群で6.7%(95% CI, 6.4%-7.0%)、GLP-1RA群で8.2%(95% CI, 7.8%-8.6%)であり、リスク比(RR)は0.81(95% CI, 0.76-0.87)、リスク差(RD)は-1.5%(95% CI, -2.0% to -1.0%)であった。また、AKIの5年平均累積数は100人あたりSGLT2i群で25.2回(95% CI, 24.4-26.1)、GLP-1RA群で28.7回(95% CI, 27.4-30.0)であり、平均累積数比は0.88(95% CI, 0.83-0.93)、平均累積数差は-3.5(95% CI, -5.0 to -2.0)であった。
CKDの構成要素別に見ると、SGLT2iの開始は、GLP-1RAと比較して、eGFRの持続的な低下(RR 0.75 [95% CI, 0.69-0.82])および腎不全(RR 0.77 [95% CI, 0.54-1.11])のリスク低下と関連していた。一方で、顕性アルブミン尿のリスクについては両群で同等であった(RR 0.98 [95% CI, 0.89-1.09])。これに対し、副次評価項目である新規または進行性のアルブミン尿(RR 1.07 [95% CI, 1.02-1.12])および死亡(RR 1.05 [95% CI, 0.99-1.11])のリスクについては、GLP-1RA群でわずかに低い結果となった。サブグループ解析において、SGLT2iによるCKDリスクおよびAKI発生低下は一貫しており、特に既存の腎疾患がない患者(UACR 30mg/g未満、またはeGFR 60mL/min/1.73m²以上)で最も顕著に観察された。
本研究により、2型糖尿病患者において、SGLT2iの開始はGLP-1RAと比較して、5年間のCKDリスクおよびAKI発生を低下させる可能性が示された。著者らはこの結果について、2型糖尿病患者における腎疾患の一次予防に対するSGLT2iの可能性を強調するものであるとし、また、両剤でeGFRとアルブミン尿に対する効果が異なることから、併用療法が付加的な利益をもたらす可能性が示唆されたとしている。




