新規糖尿病治療薬・イメグリミンの効果と安全性を実臨床データで確認 岐阜大学

2026.02.05
岐阜大学は、新規糖尿病治療薬であるイメグリミンの実臨床における効果と安全性を検証し、その結果を報告した。若年層から高齢者まで1年間にわたり安定した血糖改善効果を示し、また体重や中性脂肪、肝酵素など包括的な代謝改善効果も示唆されたという。

 日本国内の糖尿病患者数は1,000万人を超え、特に高齢者人口の増加に伴い、高齢患者が急速に増加している。高齢者では若年者と比べて薬物有害事象のリスクが高いため、安全性の高い薬剤選択が重要となっている。

 イメグリミンは、2021年9月に世界に先駆けて日本で発売された糖尿病治療薬で、ミトコンドリア機能の改善により血糖値を改善するという、これまでにない作用機序を持つ。しかし発売からの期間が短く、実臨床でのデータが十分ではない。特に高齢2型糖尿病患者に対する実臨床での有効性と安全性評価が求められていた。さらに、第3相臨床試験である TIMES2試験では、糖尿病治療薬で使用されることの多いメトホルミンとの併用で消化器症状の頻度増加が示されており、より安全な併用の条件を明らかにすることが課題であった。

 そこで本研究では、イメグリミンを1年以上使用した79人の2型糖尿病患者の実臨床データをもとに、この課題を後方視的に検討した。

 その結果、イメグリミンを開始して1ヵ月後にはHbA1cが有意に低下し、この傾向は12ヵ月後まで継続した。12ヵ月後の時点で、有害事象により中止した6人を除いた73人の体重・HbA1c・ALT・AST・γ-GTP・トリグリセリドの有意な低下を認めた。

 参加者を65歳未満(29人)、65-74歳(27人)、75歳以上(23人)の3群に分けて比較したところ、HbA1cの推移、HbA1cの変化量、治療目標達成率は同等であった。いずれも年齢による差は認めず、高齢者でも若年者と同様の効果が確認された。副作用発現率も年齢群間で有意差はなく、消化器症状による中止率も同程度であった。

 また、参加者の62%(79人中49人)がメトホルミンを使用していた。メトホルミンの投与量で層別化(750mg/日以下:26人、1,000mg/日以上:23人)したところ、1,000mg/日以上で消化器系有害事象が高頻度であった。メトホルミンの化学構造がイメグリミンと類似していることが、副作用増加の一因と考えられた。

 以上の結果より研究グループは、イメグリミンが高齢者を含む幅広い患者層で安全に使用でき、血糖値の改善だけでなく、体重や脂質、肝機能など幅広い代謝指標にも良い影響を与えること、そして、メトホルミンとの併用は概ね安全である一方、高用量(1,000 mg/日以上) では胃腸症状が増える傾向が確認され、併用時の適切な用量調整の重要性が示されたと結論付けた。

 研究グループは、「イメグリミンは、体への負担が比較的少なく、複数の代謝改善作用を持つ新しい治療薬。本研究は単施設・後方視的研究ではあるが、高齢者を含む幅広い患者に対して有望であることを実臨床で示した。今後は、多施設共同研究、前向き研究、メトホルミン併用最適化の検証などにより、本研究結果の再現性と実践的な治療戦略の確立を目指す」と述べている。

 本研究は、岐阜大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌代謝内科学の院生 藤澤太郎氏、同准教授 加藤丈博氏、同教授 恒川新氏、中部国際医療センターのセンター長 髙見和久氏、京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科 教授 矢部大介氏らの研究グループにより実施され、研究成果が2025年12月16日付で「Frontiers in Clinical Diabetes and Healthcare」に掲載された。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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