日本糖尿病学会が「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を改訂 チルゼパチドの追記など
2型糖尿病の適正な薬剤選択を行うためのアルゴリズム
日本糖尿病学会は、「コンセンサスステートメント策定に関する委員会」を設置し、糖尿病診療に必要なアップデート事項を適宜コンセンサスステートメントとして刊行している。
同学会のコンセンサスステートメントは、日本の糖尿病診療に関する考え方を、テーマごとにできるかぎり日本も含む新しいエビデンスにもとづきまとめたもの。
2020年にその第1報として「糖尿病患者の栄養食事指導」をテーマに作成。2022年に第2報として「2型糖尿病治療アルゴリズム」をテーマに作成した。
非専門医が適正な薬剤選択を行う一助になることを重要な命題とした同アルゴリズムでは、2型糖尿病の病態をある程度判別できる臨床指標として肥満の有無を採用している。
公開を開始した「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム 第2版」の主な改訂点は、▼肥満[インスリン抵抗性を想定]の最後にチルゼパチドを追記、▼「インスリン抵抗性はBMI、腹囲での肥満・内臓脂肪蓄積から類推するが、HOMA-IR等の指標の評価が望ましい」と追記変更、▼「腎機能障害合併者には、ビグアナイド薬、SU薬、チアゾリジン薬、腎排泄型のグリニド薬を避ける」と追記変更、▼「心不全合併者にはチアゾリジン薬、ビグアナイド薬を避ける(禁忌)」と順番を変更、▼「目標HbA1cを達成できなかった場合は、(中略)、冒頭に立ち返り、インスリン適応の再評価も含めて薬剤の追加等を検討する」に変更、▼別表にチルゼパチドについて追記したのに加え、考慮すべき項目に、特徴的な副作用と、効果の持続性の2つを追記した。
本文でも、チルゼパチドや特徴的な副作用など、図、別表の改訂に関する追記に加えて、アルゴリズムの図には記載されていないが、考慮すべき併存疾患として今回の改訂から非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が取り上げられた。
さらに、インスリンの絶対的適応と相対的適応、血糖コントロール目標における熊本宣言2013や高齢者糖尿病の血糖コントロール目標などについても詳細を追記された。