糖尿病の増減

  • 後藤 由夫 (東北大学名誉教授、東北厚生年金病院名誉院長)
2015.10.02
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1. 戦争と糖尿病

 第二次大戦時に糖尿病が激減したことは筆者に大きなインパクトを与えた。筆者らは外来および入院病歴を調べて正確な数字を作り、当時、厚生省より公表された国民1人当り1日の栄養素摂取量の統計を参考資料として用い図1のような題で発表した(1958年)。この報告は当時出版された多くの本に引用された。

 また、わが国で糖尿病患者が増加してきた頃に国民の脂肪摂取量が増加したことも目立ったことだったので、この2つを関連づけた。ドイツのSchliach, V(1954年)も戦後糖尿病患者が増加したときは脂肪摂取量も増加したと報告していた。

2. 脂肪摂取と糖尿病

 ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。

 その結果は

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