日本糖尿病学会が「リアルタイムCGM適正使用指針」改訂版を公開 リアルタイムCGMは血糖管理を向上させる有用なツール
リアルタイムCGMは糖尿病患者の血糖管理を向上させる有用なツール
スマートデバイスで測定値を確認(イメージ)
低血糖を回避しつつ血糖コントロールを行うため、インスリン療法を行っている糖尿病患者は、厳密に自身の血糖変動について把握する必要がある。自身の血糖値を測定するために、血糖自己測定(SMBG)、リアルタイム持続グルコース測定(リアルタイムCGM)、間歇スキャン式持続グルコース測定(isCGM)、通称フラッシュグルコースモニタリング(FGM)といった方法がある。
SMBGはもっとも一般的に行われている方法で、患者自身が測定を行った時点の血糖値を簡便に知ることができるものの、インスリン療法中の患者の血糖変動は大きく、SMBGを行わない時間帯の血糖値、および血糖が上昇傾向か下降傾向にあるのかといった変動傾向をSMBGのみで把握することは困難だ。SMBGのみでは高血糖や低血糖に対する事前の対策が難しいことが臨床的な問題となっているとしている。
リアルタイムCGMは、間質液中のグルコース濃度を継続的に自動測定し、グルコー ス値の変化を線状のグラフとして常時機器上に表示するもの。また、測定結果から低グルコース閾値や高グルコース閾値にいたることを予測し、アラートを発する機能があることから、低グルコース閾値を適切に設定し、その際の対応を指導しておくことで、患者自身が低血糖に対して事前の対策をとれるようになることが期待される。
これまでは、インスリンポンプ一体型のリアルタイムCGM(SAP)しか使用できなかったが、ペン型注入器を用いている場合にも使用できるリアルタイムCGMの2機種(メドトロニック製ガーディアンコネクト、デクスコム製Dexcom G4)が、2018年12月より保険適用となった。また、デクスコム製Dexcom G6は、2021年7月より保険適用となった。
さらに、Dexcom G6については、2022年12月1日より適応が拡大し、原則として間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM、FreeStyleリブレ)と同様の患者を対象に、保険適用区分(C150-7)での使用が可能となったとしている。Dexcom G6の保険適用は、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている入院中の患者以外の患者となった。
日本糖尿病学会の「リアルタイムCGM適正使用指針」では、リアルタイムCGMについて「本機器はインスリンポンプと独立した単体型のリアルタイムCGM」として、「ペン型注入器は、使い勝手や費用負担の軽さから多くの患者に選択されているが、インスリンポンプと比較して、インスリンの投与時間や量の微細な調整ができないことから、血糖コントロールが難しく、予期 せぬ高血糖や重症低血糖のリスクがあることが知られている。本機器の導入はかかる患者の血糖コントロール改善に大いに寄与することが期待される」としている。
同指針では、Dexcom G6の使用について、保険適用区分 C150-7にふれ、継続使用が考慮される患者像として、「(1) インスリン療法でも血糖変動が大きい患者、 (2) 生活が不規則で血糖が不安定な患者、(3) スポーツや肉体作業など活動量が多く血糖が動揺しやすい患者、(4) 低血糖対策の必要度が高い患者」などを挙げている。
また、短期的または間歇的に使用する患者像として、「(1) インスリンを新規に開始する患者、(2) 治療内容の変更(薬剤の追加・変更、薬剤用量の増減など)を行う患者、(3) 食事や運動などが血糖変動に及ぼす影響を理解させて生活習慣改善に向けて教育的指導を行いたい患者、(4) 手術や⻭科処置などで短期間に血糖を改善すべき患者、(5) シックデイの場合」などを挙げている。
さらに、「 SMBGとの併用」「保険適用」「安全性と有効性の担保」「結果の評価方法について」についても説明し、「本品の使用中にはSMBGで血糖値を確認すべき状況について適切に指導されていることが求められる」「本品の使用により得られる膨大な量のデータの解釈や臨床判断および指導を適正に行うためのチーム医療が重要」などと注意を促している。
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