SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠 10mg」が慢性腎臓病に対する効能・効果および用法・用量に係る承認(一部変更)を取得 適応症が糖尿病・心不全・腎臓病の3つに

2024.02.14
 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠10mg」(一般名:エンパグリフロジン)について、慢性腎臓病に対する効能・効果および用法・用量に係る承認事項の一部変更承認を取得したと公表した。

 今回の承認により、ジャディアンス錠10mgは、2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の3つの適応症を有するSGLT2阻害薬になった。

2型糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病の3つの適応症を有するSGLT2阻害薬に

 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠10mg」(一般名:エンパグリフロジン)について、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性腎臓病に対する効能・効果および用法・用量に係る承認事項の一部変更承認を、厚生労働省より取得したと公表した。

 今回の承認(一部変更)は、慢性腎臓病患者でのSGLT2阻害薬の臨床試験としては大規模・広範囲の臨床試験で、糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わず、日常診療で良く見られる6,609人(うち日本人612人)のCKD患者を対象とした、EMPA-KIDNEY第3相臨床試験のデータから得られた結果にもとづくとしている。

 同試験では、エンパグリフロジンの投与により、主要評価項目である慢性腎臓病の進行または心血管死のリスクがプラセボ投与群に比べて28%低下し、統計学的な有意差が認められた[HR 0.72、95%CI 0.64~0.82、P<0.000001]。

 また、慢性腎臓病患者を対象としたSGLT2阻害薬の臨床試験としてははじめて、試験計画書で事前規定された主な検証的副次評価項目の1つであるすべての入院の有意な減少(14%)が認められた[HR 0.86、95%CI 0.78~0.95、p=0.0025]。

 同試験での重篤な有害事象の発現割合は、プラセボ投与群で35.3%、エンパグリフロジン群で32.9%だった。

 慢性腎臓病(CKD)の症例の約3分の1は、糖尿病、肥満や高血圧などの代謝性疾患に起因している。CKDは、死亡や心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患のリスクファクターであり、進行すると末期腎不全に至り、透析療法や腎移植術が必要となる。慢性腎臓病の治療目的は、腎機能の低下を抑え、末期腎不全への進行を遅らせ、心血管疾患の発症を予防すること。

 今回の承認により、ジャディアンス錠10mgは、2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病の3つの適応症を有することになった。「慢性腎臓病患者さんに新たな治療選択肢を提供し、より幅広い慢性腎臓病患者さんの治療に貢献できるものと考えています」としている。

* 同剤の慢性腎臓病もしくは慢性心不全に対する効能・効果は、それぞれ「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)」および「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」となっている。

 EMPA-KIDNEYは、国際無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、腎臓病の進行と心血管死のリスクに対するエンパグリフロジンの影響を評価する試験として設計されている。主要評価項目は、心血管死または腎臓病の進行[末期腎不全(透析や腎移植などの腎代替療法が必要とされる状態)、eGFRが10mL/min/1.73m2未満で持続する状態、腎死、またはeGFRの無作為化時点からの低下率が40% 以上で持続する状態のいずれか]のいずれかが生じるまでの期間となっている。

Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease (New England Journal of Medicine 2022年11月4日)
EMPA-KIDNEY (The Study of Heart and Kidney Protection With Empagliflozin)
EMPA-KIDNEY (ClinicalTrials.gov)

ジャディアンス錠10mg ジャディアンス錠25mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)

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