インスリンとメトホルミンでは糖尿病患者の炎症マーカーは低下しない 米研究

2009.10.27
 2型糖尿病と新たに診断された患者において、メトホルミンとインスリンによる治療は血糖降下では有用だが、心疾患の炎症バイオマーカーの低下にはつながらないという新しい知見が発表された。米国医師会誌「JAMA」9月16日号に掲載された。

 糖尿病でみられる病態のひとつに心疾患がある。研究者らは、インスリンやメトホルミンにより血糖コントロールやインスリン抵抗性を改善したときに、炎症にも改善効果があるかどうかを確認した。

 対象者を、「プラセボ」群、「プラセボ+インスリングラルギン」群、「メトホルミン」群、「メトホルミン+インスリングラルギン」群の4群に無作為に割り付けた。空腹時血糖値110mg/dL未満を目標に、食生活と体重に関するアドバイスも受け、ベースラインから14週までのC反応性蛋白(CRP)値、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子レセプター2(TNFR2)などの炎症マーカーの変化をみた。

 その結果、血糖値とHbA1Cは、積極的治療群ではプラセボ群に対し著しく改善した。炎症マーカーはすべての群で低下が認められたが、影響はプラセボ群と同等という結果になった。CRP値の減少はプラセボ群では19%、メトホルミン群で16%、メトホルミン+インスリン群で20%だったのに対し、インスリン群では3%だった。IL-6やTNFR2でも同様の結果を得た。

 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院およびハーバード大学医学部のAruna Pradhan博士らは「インスリンやメトホルミンで血糖コントロールを改善しても、炎症マーカーは低下しない結果になった。炎症は軽減しないものの心血管リスクを低減させる薬剤は多くある。食事と運動、減体重、禁煙、血圧コントロール、抗血小板治療、スタチン治療を含んだ治療が有用なことが確かめられた」と述べている。

Effects of Initiating Insulin and Metformin on Glycemic Control and Inflammatory Biomarkers Among Patients With Type 2 Diabetes JAMA. 2009;302(11):1186-1194.

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