糖尿病看護とネガティブ・ケイパビリティ 「わからない」に耐える力を身につける
近年、医療や看護、心理学などの分野でネガティブ・ケイパビリティが注目されています。ネガティブ・ケイパビリティとはどのようなものなのか、糖尿病看護における必要性について、経験型実習教育をベースに、長年にわたり看護学生や看護教員の教育に携わってこられた安酸史子先生にお話を伺いました。
日本赤十字北海道看護大学
学長・教授
安酸史子 先生
※この記事は「糖尿病リソースガイド」が制作し、株式会社三和化学研究所発行『Precious Voice no.10』に掲載されました。
Q. ネガティブ・ケイパビリティはどのようなものなのでしょうか。
A ネガティブ・ケイパビリティは「答えの出ない事態に耐える力」といわれています。生半可な知識や経験で意味や理由をつけて解釈するのではなく、「宙ぶらりんな状態を持ちこたえる力」ということもできます。すぐに答えを出し帳尻を合わせてしまう方が気持ち的には楽ですが、性急に物事に対処せず、「まだちょっとよくわからない」と判断保留の状態を保ち続ける。簡単なことではありませんが、それが身についている、できる能力をネガティブ・ケイパビリティと呼んでいます。
ふつうcapabilityといえばポジティブな能力、すなわち題などが生じた際に的確かつ迅速に対処する力を指します。こちらはネガティブ・ケイパビリティと対になるという意味で、ポジティブ・ケイパビリティと呼ばれます。さまざまな知識や技術が必要とされる糖尿病看護において、ポジティブ・ケイパビリティは必須の能力といえます。しかしそれだけではうまくいかないケースも少なくありません。正しいと思うことをいくら言っても患者さんに届かない・動かない―そんな経験を多くの看護師がしているのではないでしょうか。ポジティブ・ケイパビリティでは「待つ」「聴く」姿勢にはあまり光が当たりませんが、糖尿病看護においては同じぐらい重要です。そのベースにあるのがネガティブ・ケイパビリティという能力です(表)。






