GLP-1受容体作動薬がアルコール使用障害治療薬となる可能性

いくつかの先行研究から、GLP-1RAの処方を受けた患者でアルコール使用障害のリスクが低下する可能性が示唆されている。ただし、それらの報告の大半は観察研究の結果であり、ランダム化比較試験(RCT)に基づくエビデンスは確立されていない。これを背景にKlausen氏らは、アルコール使用障害の治療におけるセマグルチドの有用性をプラセボ対照RCTにより検討した。
研究参加者は、治験情報サイトやソーシャルメディア経由で募集された、アルコール使用障害の治療を求めている18~70歳の肥満の成人(BMI30以上)。スクリーニングを受け、医師により中等度から重度のアルコール使用障害(AUDITスコア15以上)と判定された108人を、セマグルチド群とプラセボ群に1対1で割り付けた。この集団の主な特徴は、平均年齢52.3±9.8歳、女性49%で、AUDITスコアは22.8±4.4であった。なお、糖尿病、膵炎、重度の精神障害、アルコール・タバコ以外の物質使用障害の既往、およびアルコール使用障害に対する薬物治療中の患者などは除外された。
参加者全員に標準的な認知行動療法を行った上で、セマグルチド2.4mgまたはプラセボを週1回皮下投与する介入を26週間行った。主要評価項目は、多量飲酒日数のベースラインからの変化であり、ITT解析により検討した。介入前の多量飲酒日数は、セマグルチド群が30日当たり17.1±8.2日、プラセボ群は17.2±7.4日であり、また30日間での総アルコール摂取量は同順に2,155.3±1,171.5g、2,246.6±1,091.9gだった。
介入による多量飲酒日数の変化は、セマグルチド群が-41.1パーセントポイント(95%信頼区間-48.7~-33.5)、プラセボ群が-26.4パーセントポイント(同-34.1~-18.6)であり、推定差-13.7パーセントポイント(-22.0~-5.4)と認められた(P=0.0015)。また、多くの副次評価項目にも有意差が認められた。例えば、30日間での総アルコール摂取量の変化はセマグルチド群が-1,550.2g、プラセボ群が-1,025.9g(P<0.0009)、ウエスト周囲長の変化は同順に-12.1cm、-3.8cm(P<0.0001)だった。有害事象はセマグルチド群で多く認められたが、いずれも一過性であり、大半は軽度から中等度の消化器症状だった。
論文の共著者の1人である米国立アルコール乱用・依存症研究所のGeorge Koob氏は、「現時点において、アルコール使用障害の治療薬として承認されている薬剤は限られており、しかも、それらはほとんど活用されていない。より利用しやすく、より効果的な新たな選択肢が加われば、この治療ギャップを解消する上で大きな転換点となる可能性がある」と述べている。
なお、複数の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。
[HealthDay News 2026年5月6日]
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