膵臓部分切除術後の糖尿病発症に関与する因子の解明─腸内環境と膵臓内分泌細胞の可塑性の重要性─

2021.11.15
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連載:OVERSEAS
膵臓部分切除術後の糖尿病発症に関与する因子の解明
─腸内環境と膵臓内分泌細胞の可塑性の重要性─
Vol.38 No.6(2021年11・12月号)pp.718-720

2021年11・12月号 目次

坊内良太郎* 1 Bouchi, Ryotaro
小川佳宏* 2 Ogawa, Yoshihiro
* 1 国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科/糖尿病研究センター糖尿病情報センター
* 2 九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学(第三内科)

背景

 膵臓は生体における唯一の血糖降下作用を有するホルモンであるインスリンを分泌する内分泌器官であるため,膵臓部分切除術後には糖尿病を発症する可能性が高くなる.膵臓部分切除術の術式は,膵臓の右側半分(膵頭部と膵体部の一部)と十二指腸を切除して近位小腸をバイパスする膵頭十二指腸切除術(pancre-atoduodenectomy:PD)と膵体部の一部と膵尾部を切除する膵体尾部切除術(distal pancreatectomy:DP)に大別されるが,術式による膵切除術後糖尿病(postpancreatectomy diabetes:PPDM)の発症率に差があるか否かについては複数の報告があり,一貫した結論が得られていなかった.その要因として,過去の多くの研究において,膵臓手術の原因疾患として慢性膵炎や膵臓がんが多く含まれていた点が挙げられる.慢性膵炎や膵臓がんは疾患自体が耐糖能に影響すること,これらの疾患は死亡率が高いため長期の追跡が困難であることから,術式自体が術後糖尿病の発症にどの程度影響するのかは明らかでなかった.本研究は①PPDM 発症率の術式による違い,②腸内細菌叢,インクレチン分泌,短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid:SCFA),胆汁酸を含めた腸内環境の変化がPPDM 発症に及ぼす影響,さらには③膵内分泌細胞の可塑性および膵島腫大とPPDMの関連を明らかにすることを目的とした.

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