3.糖尿病発症リスクの予測:理論と社会実装

2022.09.05
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特集■糖尿病領域におけるデジタル診療の最先端
─情報通信技術は新たなる大海原の羅針盤たりうるか─
3.糖尿病発症リスクの予測:理論と社会実装
Vol.39 No.5(2022年9・10月号)pp.513-518

2022年9・10月号 目次

溝上哲也 Mizoue, Tetsuya
国立国際医療研究センター 臨床研究センター疫学・予防研究部

はじめに

 糖尿病は三大合併症を引き起こすほか,心血管疾患・がん・認知症など多くの疾病のリスクと関連しており,その予防と管理が重要である.糖尿病は自覚症状がないままに進行し,症状が現れたときにはすでにかなり進行しているケースも散見される.事業主や自治体が行っている定期健康診断に含まれる血糖検査は,糖尿病の早期発見のほか,糖尿病になる前の血糖高値者(いわゆる予備群)を見つけ,日常生活上の注意を促すことで,予防にも役立てることができる.予備群という糖尿病のハイリスク者に限らず,健康診断のデータから自身の糖尿病にかかるリスクがわかれば,多くの人の糖尿病予防への関心を高めることができるのではないか.そのような文脈から,リスク評価を起点とする個別化予防の流れが見えてくる(図1).

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