糖尿病網膜症の疫学と診断

2022.01.15
next
連載:FORUM 合併症Ⅰ■COMPLICATION Ⅰ─網膜症─ 第1回
糖尿病網膜症の疫学と診断
Vol.39 No.1(2022年1・2月号)pp.060-064

2022年1・2月号 目次

佐々木真理子* 1〜3 Sasaki, Mariko
* 1 国家公務員共済組合連合会 立川病院 眼科
* 2 慶應義塾大学医学部 眼科学教室
* 3 国立病院機構東京医療センター 眼科

はじめに

 International Diabetes Federation(IDF)によれば,世界における2000年の糖尿病有病率は4.6%,患者人口は1億5,100万人であったが,2021年にはすでに9.8%,5億3,660万人に増加し,2045年には11.2%,7億8,370万人に達すると予想されている 1).糖尿病患者の爆発的な増加に伴い,糖尿病網膜症と糖尿病黄斑浮腫による視覚障害は,公衆衛生上,世界的に解決すべき課題となっている.そのため,これらの眼合併症を伴う患者の動向や危険因子を把握することが重要となる.
 一方,眼科領域における糖尿病網膜症の治療は,小切開硝子体手術をはじめとする治療技術の進歩により,失明を免れるための治療から,良好な視力を維持するための治療へと転換してきている.これらの技術の進歩も寄与し,長らく後天性視覚障害原因の1位であった糖尿病網膜症は,2017年には3位に後退した.また,失明の回避がある程度可能となったことから,多くの患者に中等度の視力低下をきたす糖尿病黄斑浮腫が注目されている.光干渉断層計(OCT)および光干渉断層血管撮影(OCTアンギオグラフィー)などのイメージング技術の進歩は,黄斑浮腫の早期発見を可能にし,血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬治療がnew standardとして行われている.

このコンテンツは糖尿病リソースガイドの有料会員登録後にお読みいただけます。

  • ・糖尿病・内分泌医療を中心に、新しい時代の臨床現場を支援する糖尿病・内分泌プラクティスWebの閲覧が可能
  • ・糖尿病プラクティス(2020~2022年・3年間分)の記事や、本サイトが厳選したスペシャルコンテンツが閲覧可能
  • ・メールマガジン週1回配信 最新ニュースやイベント・学会情報をもれなくキャッチアップ
  • ・糖尿病の治療に関するアンケートに参加可能、回答はメルマガやウェブで公開
  • ・その他、有料会員向けコンテンツ・サービスを企画中!乞うご期待ください

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新特集記事

よく読まれている記事

関連情報・資料