糖化ストレスと運動機能

2021.09.15
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連載:FORUM 運動 ■EXERCISE 第2回
糖化ストレスと運動機能
Vol.38 No.5(2021年9・10月号)pp.587-589

2021年9・10月号 目次

江川達郎 Egawa, Tatsuro
林 達也 Hayashi, Tatsuya
京都大学大学院 人間・環境学研究科

はじめに

 体内にある蛋白質はさまざまな翻訳後修飾を受けることにより機能調節されている.そのなかでも「糖化」は非酵素的に起こる翻訳後修飾のひとつであり,蛋白質が糖と結びつき最終的に終末糖化産物(AGEs)の修飾を受けた状態になる化学反応のことである.AGEs修飾蛋白質は機能が低下してしまうだけではなく,AGEs受容体を介して炎症性シグナルを活性化し身体機能に悪影響を及ぼす.このような糖化に起因する生体にとって有害な作用は,総称して「糖化ストレス」と呼ばれている.体内のCAGEs修飾蛋白質は加齢とともに増加し,糖尿病合併症だけではなくがんやアルツハイマー病,骨粗鬆症などの加齢性疾患の発症に関与していることから,糖化ストレスは酸化ストレスとともに老化促進因子として着目されている.加えて,近年ではフレイルやサルコペニア発症との関連性が明らかになっており(図1),身体の運動機能や筋機能を低下させる危険因子として認識されつつある1)
 本稿では,糖化ストレスによる運動機能や筋機能への影響ならびに糖化ストレスに対する運動の効果について概説する.

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