早期DKDへのフィネレノン 腎症軽症化に寄与する可能性を示唆

2026.06.17
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口演 34「腎症 1」
発表日:2026年5月21日
演題:2型糖尿病性腎臓病の初期病型におけるフィネレノンの有効性と安全性
演者:齊尾友希江(三思医光会 東邦病院 糖尿病・リウマチ科)

第69回日本糖尿病学会年次学術集会において、三思医光会 東邦病院 糖尿病・リウマチ科の齊尾友希江氏より、2型糖尿病性腎臓病の初期病型においてフィネレノン投与が有効である可能性が示唆されたとの報告がなされた。本検討は単施設後ろ向きではあるものの、2型糖尿病合併の早期DKDへのフィネレノン投与により、腎症ステージの軽症側へのシフトが認められたという。

実臨床における早期DKDへのフィネレノンの有効性を検討

 ミネラルコルチコイド受容体(MR)は、尿細管細胞をはじめ腎臓内の多様な細胞に発現しており、アルドステロン過剰による活性化はCKD進展の一因と考えられている。近年では、MRはアルドステロン非依存的にも活性化され、腎障害に関与することが報告されている1)

 非ステロイド型選択的MR拮抗薬(MRA)であるフィネレノンは、国際共同第Ⅲ相試験(FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKD試験)において、2型糖尿病合併CKD患者に対する腎および心血管イベント抑制効果が示されているが、実臨床における早期病期での報告は限定的である。

 そこで齊尾氏らは、2型糖尿病性腎臓病患者を対象に、初期病型におけるフィネレノンの有効性と安全性について単施設後ろ向き検討を行った。

eGFRは安定、尿中アルブミンは低下傾向

 対象は2型糖尿病にDKDを合併した患者51例であった。観察期間は52週で、評価項目は尿中アルブミン、HbA1c、腎症ステージ別(糖尿病性腎症病期分類2023)の推移、安全性、推算糸球体濾過量(eGFR)、クレアチニンとした。 対象患者の背景は、男性30名、女性21名、平均年齢68.4歳、平均BMIは24.6であった。

 フィネレノン投与開始時の腎症ステージ別の割合は、1期が12名(23.5%)、2期が25名(49.0%)であり、1期と2期を合わせて全体の72.5%を占めた。なお、1期の患者については、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が30未満であったものの、eGFRが60未満であり、かつ低下傾向がみられたため、CKDとして治療を開始した。また、3期は12名(23.5%)、4期は2名(3.9%)であった。

 最終的にフィネレノンの用量は、10mgが9名、20mgが42名に投与された。投与開始時の併用薬は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が76.5%、SGLT2阻害薬が74.5%、GLP-1受容体作動薬が47.1%であった。また、投与開始時の主な検査データは、尿中アルブミン320.7、eGFR 53.8、HbA1c 6.9%であった。

 52週間の観察期間において、HbA1cおよびクレアチニンに有意な変動は認められなかった。一方、eGFRについては、フィネレノン投与開始6カ月前から投与開始時にかけて有意差をもって低下していたが、投与開始以降の52週間は変動がなく安定した。さらに尿中アルブミンについては、投与開始6カ月前から投与開始時にかけて有意差はないものの増加傾向にあったが、投与開始以降の52週間は低下傾向を示し、平均値ではあるものの、開始時から52週時点で約45%低下した。

腎症ステージが軽症側へシフト

 腎症ステージ別の推移をみると、全例における1期の割合は、フィネレノン投与開始24週前には41.2%であったが、投与開始時には有意差をもって23.5%へと減少しており、投与開始から52週後には52.9%へと増加した。また、1期と2期を合わせた割合についても投与開始時の72.5%から52週時点で84.3%に増加した。齊尾氏はこの結果について、「フィネレノンが単なる進行抑制にとどまらず、腎症を軽症化させる可能性を示唆するもの」とした。

 なお、安全性については、重大な高カリウム血症は認められず、全例で投与継続が可能であった。

フィネレノンによる早期段階からのDKDへの介入
将来的な腎機能低下抑制に寄与する可能性

 以上の結果から齊尾氏は、フィネレノンは早期DKDにおいて腎症進展抑制だけでなく、軽症化にも寄与する可能性が示唆され、安全性も良好であったと総括した。

 本研究が単施設での小規模、かつ対象群なしの観察研究であり、因果関係の解釈には慎重を要し限界があるとしたうえで、今回の研究結果について、「フィネレノンの早期段階からの介入が、将来的な腎機能低下抑制に寄与する可能性が示唆された」と結論づけた。

文献

  • Nishiyama A. : Hypertens Res. 2019; 42(3): 293-300.
[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]
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