SGLT2阻害薬「ジャディアンス」の日本人サブ解析 CKD患者の腎疾患進行・心血管死のリスクが低下
エンパグリフロジンのCKD患者を対象とした第3相試験 日本人サブグループの解析結果を発表
EMPA-KIDNEY試験は、8ヵ国から6,609人の慢性腎臓病(CKD)患者が登録され、日本では25施設から612人が登録された。同試験は、英国オックスフォード大学により主導され、腎疾患の進行や心血管死などのアウトカムなど、重要な情報に焦点をあて収集する試験デザインを採用し、試験参加者や試験施設の負担を軽減することで、各試験施設からより多くの参加者が登録できるように工夫されている。
今回の日本人サブグループ解析では、日本からの参加者と日本以外の地域からの参加者でのエンパグリフロジンの効果を比較・検討した。
試験全体では、主要アウトカムである腎疾患進行あるいは心血管死は、エンパグリフロジン群の432人、プラセボ群の558人に発現し、プラセボ投与群に対してエンパグリフロジン投与群で28%のリスク低下が認められた[HR 0.72、95%CI 0.64~0.82]。
今回の日本人サブグループ解析では、日本以外の地域からの参加者での主要アウトカムに対する結果[HR 0.75、95%CI 0.66-0.86]、および日本からの参加者での結果[HR 0.49、95%CI 0.32~0.75、異質性のp=0.06]が新たに示され、試験全体でみられたエンパグリフロジンの主要アウトカムに対するリスク低下効果は、日本から参加したCKD患者にも当てはまることが示唆された。
また、エンパグリフロジンの安全性プロファイルについて、日本からの参加者でも新たな知見を示すものは確認されなかった。
EMPA-KIDNEY試験(エンパグリフロジンによる心腎保護効果の検討)は、国際無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、慢性腎臓病の診断が確立した6,600人超の成人患者が、糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わず参加し、標準治療に加えてエンパグリフロジン10mgあるいはプラセボの投与を受けた。
慢性腎臓病(CKD)の治療の目的は、腎機能の低下を抑え末期腎不全への進行を遅らせること、および心血管疾患の発症を予防することだが、これまで日本人CKD患者を対象としたデータは多くない。同試験は、SGLT2阻害薬のCKDでの臨床試験として大規模・広範囲のものとしている。
同試験は、腎臓病の進行と心血管死のリスクに対するエンパグリフロジンの影響を評価する試験として設計されている。主要評価項目は、心血管死あるいは腎臓病の進行[末期腎不全(透析や腎移植などの腎代替療法が必要とされる状態)、eGFRが10mL/min/1.73m²に持続的に低下する状態、腎死、あるいは、ランダム割付後にeGFRが40%以上持続的に低下している状態のいずれか]のいずれかが生じるまでの期間。
Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease (New England Journal of Medicine 2022年11月4日)
Effects of empagliflozin in patients with chronic kidney disease from Japan: exploratory analyses from EMPA–KIDNEY (Clinical and Experimental Nephrology 2024年4月20日)
ジャディアンス錠10mg ジャディアンス錠25mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)
ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)の製品ページ (日本ベーリンガーインゲルハイム)
関連情報