石井 均先生特別インタビュー『医師のことばと糖尿病治療~SDMを支えるコミュニケーション~』(第1回)を公開
※Shared Decision Making
協力:株式会社ヴァンティブ

患者の治療意欲を高める「患者と医療者の関係性」とは

年々、増加傾向にある慢性腎臓病。糖尿病はその代表的原因疾患であり、1998年以降、糖尿病性腎症が透析導入となる原因の第一位となっている。この状況を受けて開設した慢性腎臓病の特集コーナー(2024年6月開設)において、石井 均先生のインタビュー記事『医師のことばと糖尿病治療~SDMを支えるコミュニケーション~(第1回:患者と一緒に山をのぼる「治療同盟」という考え方)』を公開した。
石井 均先生は、我が国の糖尿病治療において心理社会学的なアプローチの重要性をいち早く提唱し、長きにわたり「糖尿病医療学」の実践・普及に尽力されている医師患者関係学の専門家。その明るく温厚な人柄も相まって多くの医療従事者から厚い支持を受け、石井先生の講演会場は常に人が入りきらないほどになる。
そんな石井先生に、糖尿病を持つ患者の心理を見極め、いかに治療意欲を高めるかという視点で、患者と医療者とのコミュニケーションや関係性の構築について伺った。
今回公開する特別インタビューの第1回目では、石井先生がどのような経緯からこの分野に注目することとなったのか、過去を振り返りながら語っていただいた。
“当事者の反応をケアする”ということ
以下、記事の冒頭部分を引用。
<<患者と医療者間のコミュニケーションについて考えると、医療者には2つの役割があると言えます。第1は身体への科学的なアプローチであり、具体的には治療を行う、あるいは治療を止めること。第2は病気や治療に対する当事者の反応に対してケアすることです。
当事者の反応とは、患者さん自身が糖尿病と診断されたことをどうとらえているか。例えば、だるさや口喝のような自覚症状、提案された食事療法やインスリン導入をどう受け止めているか。糖尿病である自分を社会心理的にどう感じているか。最近注目されているスティグマの問題も含みます。
第1が薬や手術による治療であるとすれば、第2は、ことばやコミュニケーションによる治療です。これまでの糖尿病診療において、後者は軽く扱われてきました。コミュニケーションの重要性を理解されている先生方も、多忙な外来診療の現場ではなかなか実践できない場合が多いと聞いています。がんの領域では2007年にがん対策基本法が施行され— >>
(続きは下記リンク先から、無料で閲覧できます)
●集中連載インタビュー
『医師のことばと糖尿病治療~SDMを支えるコミュニケーション~(第1回:患者と一緒に山をのぼる「治療同盟」という考え方)』
<『第1回:患者と一緒に山をのぼる「治療同盟」という考え方』内容>
- “当事者の反応をケアする”ということ
- パターナリズム全盛の糖尿病医療のなかで
- 海外留学で学んだ「治療同盟」という考え方
<石井 均 先生プロフィール>
1976年京都大学医学部卒業後、同大学院医学研究科博士課程修了。天理よろづ相談所病院内分泌内科を経て、1993年に米国のジョスリン糖尿病センターに留学。アラン・ジェイコブソン氏、ウィリアム・ポランスキー氏らから「糖尿病の心理・社会的領域」を学び、帰国後、糖尿病患者への心理的アプローチに取り組む。天理よろづ相談所病院副院長兼内分泌内科部長、奈良県立医科大学糖尿病学講座教授、同大学医師患者関係学講座教授を経て現職。臨床心理に基づく糖尿病治療の第一人者。『医療現場の共感力』『病を引き受けられない人々のケア』 『糖尿病医療学入門』『糖尿病エンパワーメント』他著書多数。
腎臓病に関する資料が無料でダウンロード可能
本特集では、インタビュー記事のほか、腎臓病の治療や診療支援に役立つ以下の資料が入手できるページも設置。無料でダウンロードできるので、ぜひ利用してほしい。
- 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 岡本 卓 先生(愛し野内科クリニック 院長)』
- 『かかりつけ医も取り組む腹膜透析診療 佐藤克哉 先生(猿払村国民健康保険病院 院長JSPD連携認定医)』
- 『腎不全 治療選択とその実際2024』
- 『腎臓病 あなたに合った治療法を選ぶために』
- 『あなたの腎臓を守るために』
- 『腎不全治療説明用下敷き(A3版)』
本特集コーナーは今後さらにコンテンツを充実させ、様々な情報を届ける予定である。また、本特集は糖尿病リソースガイド内のコーナーだが、患者向けに糖尿病ネットワークでも腎臓病の特集コーナー『腎臓の健康道~つながって知る、人生100年のKidney Journey~』を設けており、引き続き医療者側と患者側の双方で腎臓病に対する知識の底上げができるよう図っていく。