SGLT2阻害薬「ジャディアンス」 CKDに対し適応追加を申請 腎臓・心血管イベントに対し有効性を示す
成人慢性腎臓病患者の腎臓および心血管イベントに対し有効性を示す
日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠10mg」(一般名:エンパグリフロジン)について、慢性腎臓病(CKD)に対する適応追加の承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。
この申請は、CKD患者を対象とした臨床試験であるEMPA-KIDNEY第3相試験で、成人慢性腎臓病患者の腎臓および心血管イベントに対する有効性が示され、主要評価項目を達成した結果にもとづくもの。
「ジャディアンス錠」は、2014年に2型糖尿病治療薬として日本で承認を取得、2021年に慢性心不全の効能又は効果の追加承認を取得した後、2022年には左室駆出率を問わない慢性心不全の治療薬として、電子化された添付文書が改訂された。*
CKDは死亡や心筋梗塞、脳卒中、心不全などの心血管疾患のリスクファクターであり、進行すると末期腎不全にいたり、透析療法や腎移植術が必要となる。CKDの治療目的は、腎機能の低下を抑え末期腎不全への進行を遅らせること、および心血管疾患の発症を予防すること。
EMPA-KIDNEY第3相試験は、CKDでのSGLT2阻害薬の臨床試験としては大規模・広範囲の臨床試験であり、6,609人の糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わず、日常診療で良く見られる患者(うち日本人612人)を対象に実施された。
同試験で、成人慢性腎臓病患者の腎臓および心血管イベントに対する有効性が示され、主要評価項目が達成された。エンパグリフロジンの投与により、慢性腎臓病の進行または心血管死のリスクがプラセボ投与群に比べ28%低下し、有意差が認められた(HR 0.72、95% CI 0.64~0.82、P<0.000001)。
また、慢性腎臓病を対象としたSGLT2阻害薬の臨床試験としてははじめて、試験計画書で事前規定された主な検証的副次評価項目のひとつであるすべての入院を有意に減少(14%)した試験となった(HR 0.86、95% CI 0.78~0.95、p=0.0025)。
Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease (New England Journal of Medicine 2022年11月4日)
EMPA-KIDNEY (The Study of Heart and Kidney Protection With Empagliflozin)
EMPA-KIDNEY (ClinicalTrials.gov)
ジャディアンス錠10mg ジャディアンス錠25mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)
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