HIV治療においてインテグラーゼ鎖転移阻害薬への切り替えは糖尿病リスクと関連

HIV感染者の10%以上に糖尿病が見られ、感染者の予後改善を背景に有病率はより上昇してきている。また、HIVの増殖抑制のため特定の酵素を阻害する抗レトロウイルス療法(ART)は、体重増加やインスリン抵抗性などの代謝異常を引き起こす可能性が指摘されている。さらに近年ではINSTIをベースとした治療が第一選択として推奨されているが、ART未治療患者にINSTIを処方した場合に糖尿病発症リスクが上昇するという報告がある。ただし、PIによる治療を行っている患者がINSTIへ切り替えた場合の糖尿病発症リスクについてはこれまで検討されていなかった。
この研究は、米国とカナダの成人HIV感染者の縦断的コホート研究のデータを用いて、ランダム化比較試験を模倣するターゲット・トライアル・エミュレーションとして実施された。解析には、2016~2022年にPIまたは非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)を180日以上処方されており、INSTIの使用歴がなく、糖尿病の既往のない患者1万3,071人が含まれた。患者は、PIまたはNNRTIを継続処方されていた群、およびINSTIに変更されていた群に分けられ、糖尿病発症を5年間継続観察した。NNRTIからINSTIへの変更後の受診回数は2,702回、NNRTIでの治療継続中の受診回数は5万4,766回、PIからINSTIへの変更後の受診回数は1,714回、PIでの治療継続中の受診回数は2万6,599回記録されていた。
共変量を調整後、PIからINSTIへの変更は糖尿病発症リスクの上昇と関連していた(ハザード比〔HR〕1.38〔95%信頼区間1.06~1.80〕)。一方、NNRTIからINSTIへの切り替えは糖尿病発症リスクに有意な影響を与えていなかった(HR1.10〔同0.87~1.39〕)。なお、PIからINSTIへの切り替え後、最初の2年間は糖尿病発症リスクが有意に高く(HR1.67〔1.21~2.30〕)、それ以降は有意でなくなるという(HR1.08〔0.75~1.57〕)傾向が見られた(交互作用P=0.064)。
PIからINSTIへの変更と糖尿病発症リスクとの関連を、変更後最初の1年間の体重変化を考慮に入れて解析した場合、関連の強さはわずかな減弱にとどまった。つまり、処方変更による糖尿病発症リスク上昇は、体重の増加では説明できないと考えられた。
Hwang氏は、「本研究は薬剤の切り替えを控えるべきだと示すものではなく、患者ごとの治療選択において潜在的な代謝リスクを考慮する重要性を示している」と述べている。
[HealthDay News 2026年4月7日]
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