PCSK9阻害薬・エボロクマブ、動脈硬化のない高リスク糖尿病の初回心血管イベントを抑制 VESALIUS-CV試験サブグループ解析
今回、同試験の事前に規定されたサブグループ解析により、動脈硬化のない高リスク糖尿病患者において、エボロクマブは初回心血管イベントのリスクを有意に低下させたとの結果が報告された。3月28日~30日に開催された米国心臓病学会で発表されたもので、研究結果の詳細は「JAMA」オンライン版に同日掲載された。

VESALIUS-CV試験は、アテローム性動脈硬化症または高リスク糖尿病を有し、心筋梗塞または脳卒中の既往がなく、LDL-C 90mg/dL以上、non-HDL-C 120mg/dL以上、ApoB 80mg/dL以上のいずれかを満たす12,257例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験。本試験では、エボロクマブの追加が初回心血管イベントのリスクを有意に抑制することが示されている。
本解析は、同試験に登録された12,257例のうち、既知の有意な動脈硬化を持たない(動脈血行再建術の既往、50%以上の動脈狭窄、冠動脈石灰化スコア100 Agatston 単位以上のいずれも該当しない)患者3,655例を対象とした事前規定サブグループ解析。年齢中央値は65歳、女性が57%、BMI中央値は31.4であり、大半が高血圧を、ほぼ全例が糖尿病を有していた。ベースライン時点で89%が脂質低下療法を受けていた。対象患者は、エボロクマブ(140mgを2週間に1回皮下投与)群1,849例、またはプラセボ群1,806例に1対1で無作為に割り付けられ、中央値4.8年間追跡された。
48週時点でのLDL-C値の中央値は、プラセボ群の111mg/dLに対し、エボロクマブ群では52mg/dLと有意に低下した(P<0.001)。さらに、96週時点でのLDL-C値の中央値は、プラセボ群105mg/dL、エボロクマブ群44mg/dLであった。
主要評価項目である3-P MACE(冠動脈疾患死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合)の発生は、エボロクマブ群で83例(5年Kaplan-Meier推定値5.0%)、プラセボ群で117例(同7.1%)であり、エボロクマブ群で有意なリスク低下が示された(HR 0.69、95%CI 0.52~0.91、P=0.009)。また、4-P MACE(3-P MACEに虚血駆動型動脈血行再建術を加えた複合)についても、エボロクマブ群127例(同7.6%)、プラセボ群178例(同10.5%)であり、同様に有意なリスク低下が示された(HR 0.69、95%CI 0.55~0.86、P=0.001)。
安全性については、治験薬に関連すると考えられるものや投与中止に至るものを含む、重篤な有害事象の発生率において、プラセボ群とエボロクマブ群間でバランスが取れていた。
以上の通り本試験では、既知の有意な動脈硬化を持たない高リスク糖尿病患者において、エボロクマブの追加投与は初回心血管イベントのリスクを低下させることが示された。本結果について著者らは、高リスク患者の一次予防において、動脈硬化性心血管疾患のより早期の段階から、PCSK9阻害薬追加による脂質低下療法の強化を行うことで、通常二次予防で設定されるLDL-C値を目標とすることが支持されるものであると結論付けている。



