糖尿病治療薬の「メトグルコ」が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について一部変更承認を取得 排卵障害は不妊症の原因に

2022.09.22
 住友ファーマは、ビグアナイド系経口血糖降下剤「メトグルコ錠250mg/500mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)について、「多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発」および「多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激」の効能・効果の追加に係る一部変更承認を取得したと発表した。

PCOSは生殖年齢女性の5~8%が発症 医療上の必要性ありと判断

 住友ファーマは、ビグアナイド系経口血糖降下剤「メトグルコ錠250mg/500mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)について、「多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発」および「多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激」の効能・効果の追加に係る一部変更承認を取得したと発表した。

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖年齢女性の5~8%が発症するとされている、世界保健機関(WHO)の性機能障害のグループIIに分類される疾患。その排卵障害は不妊症の原因のひとつとなっている。

 メトホルミン塩酸塩は、国際的なガイドラインや国内のガイドラインで、PCOS患者に対する一般不妊治療での排卵誘発の際、他の排卵誘発薬との併用投与が推奨されている。

 また、メトホルミン塩酸塩は、同じく国際的なガイドラインや国内ガイドラインで、PCOS患者での生殖補助医療での調節卵巣刺激の際、他の卵巣刺激薬との併用投与が推奨されている。

 同社は、「本承認取得により、PCOS患者の不妊治療に貢献できるものと期待しています。今後も、患者の多様なニーズに応えることにより、医療に貢献していきます」と述べている。

 同承認に係る効能・効果は、2021年10月に開催された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で医療上の必要性ありと判断され、厚生労働省より同社に対して開発要請がされたもの。

 「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は、国内では承認されていない医薬品や適応について、医療上の必要性を評価するとともに、公知申請への該当性や承認申請のために追加で実施が必要な試験の妥当性を確認するなど、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発を促進し、新薬の開発を阻害することなく、新たな革新的な新薬による治療機会の改善に資することを目的に活動している。厚生労働省が主催し、医学的・薬学的な学識経験者で構成されている。

 その後、2022年1月に開催された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請への該当性が認められ、さらに、同年2月に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で一変承認申請に係る事前評価が行われ、公知申請を行っても差し支えないと判断されたことで、同社は同年3月に公知申請を行った。

 公知申請は、医薬品(効能追加など)の承認申請で、該当する医薬品の有効性・安全性が医学的に公知として、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく行う申請。

メトグルコ錠250mg/500mg 概要

販売名 メトグルコ錠250mg/500mg
一般名 メトホルミン塩酸塩(metformin hydrochloride)
剤形・含量 白色~帯黄白色の割線入りのフィルムコート錠、1錠中、メトホルミン塩酸塩250mgまたは500mg含む錠剤
効能・効果 (下線部追加)

○2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1) 食事療法・運動療法のみ
(2) 食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
○多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激
ただし、肥満、耐糖能異常、又はインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る。
用法・用量 (下線部追加)

<2型糖尿病>
通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日750~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,250mgまでとする。
通常、10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日500~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,000mgまでとする。

<多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発>
他の排卵誘発薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2~3回に分割して経口投与する。なお、本剤は排卵までに中止する。

<多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激>
他の卵巣刺激薬との併用で、通常、メトホルミン塩酸塩として500mgの1日1回経口投与より開始する。患者の忍容性を確認しながら増量し、1日投与量として1,500mgを超えない範囲で、1日2~3回に分割して経口投与する。なお、本剤は採卵までに中止する。

メトグルコ錠250mg メトグルコ錠500mg 添付文書 インタビューフォーム 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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