MR拮抗薬「ケレンディア」が2型糖尿病合併のCKD患者で心臓突然死の発現を減少 ESC2022で発表

2022.08.30
 ドイツ・バイエル社は、欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022で発表された最新データにより、2型糖尿病を合併する早期から後期まで幅広い重症度のCKD(慢性腎臓病)患者で、ケレンディア(一般名:フィネレノン)がプラセボと比べ、心臓突然死の発現を有意に減少させる可能性が示されたと発表した。

 2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病単独患者と比べ、心血管系疾患で死亡する可能性が約3倍高い。

2型糖尿病を合併するCKD患者の全死亡および心血管死のリスクを低下

 ケレンディアは、非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されている。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与する。

 2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第3相臨床試験プログラムは、2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD)で構成されている。2試験では、腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討された。

 FIDELIO-DKD試験およびFIGARO-DKD試験を含む統合解析「FIDELITY」は、2型糖尿病を合併するCKD患者1万3,000人以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第3相臨床試験プログラム。

 欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022での発表によると、FIDELITYの全体集団では、全死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は、統計的有意差にわずかにいたらなかったが、FIDELITYの事前規定した探索的on-treatment解析から得られた新データによると、同集団ではフィネレノンがプラセボと比べ、全死亡および心血管死をともに減少させたことが示された。

 全死亡に対するフィネレノンの効果は、ベースライン時点の推算糸球体濾過率(eGFR)や尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の値にかかわらず、2型糖尿病を合併する早期から後期まで幅広い重症度のCKD患者で一貫しており、ベースライン時点のeGFRが高い集団でより顕著にみられた。FIDELITYでもっとも多い死因は心血管死だった。

 ギリシャのアテネ国立カポディストリアン大学循環器学教授で、第3相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDの共同治験責任医師であるガラシモス・フィリパトス教授は次のように述べている。
 「CKDは一般的でありながらも広く認識されておらず、死に至る可能性がある疾患です。CKDになると、糖尿病患者さんの寿命はCKDあるいは糖尿病のいずれでもない集団と比べ、最大16年短くなる可能性があります。発表されたデータは、腎臓および心血管疾患に対するフィネレノンの有用性を示した一連の臨床エビデンスにもとづき、2型糖尿病を合併する幅広い重症度のCKD患者の罹患率と死亡率に対するフィネレノンの効果を示しています」。

フィネレノンが心臓突然死を25%減少

 FIDELITYの患者背景は平均年齢64.8歳で、男性が69.8%を占める。ベースライン時点の平均eGFRは57.6mL/min/1.73m²、UACR中央値は515mg/gだった。心血管疾患の治療薬がほとんどの被験者に使用されていた(レニンアンジオテンシン系阻害薬99.8%、スタチン72.2%、β遮断薬49.9%)。

 全体集団での全死亡の発現率は、フィネレノンが8.5%、プラセボが9.4%だった(HR 0.89[95%CI:0.79- >1.00];p=0.051)。死因は、心血管死(フィネレノン群4.9%、プラセボ群5.6%)が最多であり、次いで感染症(1.5%、1.4%)、悪性腫瘍(1.2%、1.6%)だった。

 フィネレノンはプラセボと比べ、心臓突然死を有意に減少させた(HR 0.75[95%CI:0.57- <1.00];p=0.046)。事前規定したon-treatment解析では、フィネレノンはプラセボと比べ、全死亡の発現率(HR 0.82[95%CI:0.70-0.96];p=0.014)、および心血管死の発現率(HR 0.82[95%CI:0.67-0.99];P=0.040)を有意に減少させることが示された。

 追跡期間4年時点での心血管死までの時間に関するイベント確率解析では、ベースライン時点のeGFRおよびUACRに関係なくフィネレノンの有用性は一貫しており、eGFRが60mL/min/1.73m²以上の場合、プラセボと比べより顕著なフィネレノンの効果が示された。

 「最適な血糖値や血圧に管理しているにもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者さんの多くは腎不全に移行し、心血管死のリスクが著しく高くなっています。発表された探索的解析は、このような脆弱な患者さんの死亡リスクを低下させ、より長く健康な状態を維持するフィネレノンの可能性を示しています」と、同社では述べている。

 第3相臨床試験FIDELIO-DKDの結果にもとづき、ケレンディアは、2021年7月に米国食品医薬品局(FDA)、2022年2月に欧州委員会(EC)、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)より、それぞれ販売承認を取得した。ケレンディアはまた、2つの第3相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果にもとづき、2022年3月に日本の厚生労働省より承認された。さらに他の複数の国で審査当局の承認が得られたほか、現在販売認可の承認申請中としている。

ケレンディア錠10mg/20mg(一般名:フィネレノン) 添付文書、適正使用ガイド、患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

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[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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