MR拮抗薬「ケレンディア錠」承認取得 2型糖尿病を合併するCKDの適応をもつ唯一のMR拮抗薬に

2022.03.31
 バイエル薬品は3月28日、非ステロイド型選択的MR拮抗薬「ケレンディア錠」(一般名:フィネレノン)について、2型糖尿病を合併するCKD(ただし末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の適応に対する承認を取得したと発表した。

2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の適応をもつ唯一のMR拮抗薬

 「ケレンディア錠」(一般名:フィネレノン)は、ドイツのバイエル社が創製した、1日1回経口投与の、非ステロイド型選択的MR拮抗薬。同剤は、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されている。

 2型糖尿病でMRの過剰活性化は、血糖コントロール不良などの代謝要因、血圧などの血行動態、炎症や線維化によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与するとみられている。

 今回の承認取得により、2型糖尿病を合併するCKDの適応をもつ唯一の非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、CKD治療での新規作用機序の薬剤となった。2型糖尿病を合併するCKDの適応は、米国、欧州連合などでも承認されている。

 2型糖尿病を合併するCKDの進行は、血圧などの血行動態、血糖コントロール不良などの代謝に加え、炎症や線維化が要因として知られている。2型糖尿病を合併するCKD患者のアンメット メディカル ニーズである心血管や腎臓の障害を抑制するためには、血行動態や代謝だけでなく、MRの過剰活性化が関与する炎症や線維化への介入が必要とされている。

 ケレンディア錠は、2型糖尿病を合併するCKD患者計1万3,000人以上が参加した2つの大規模臨床試験(FIGARO-DKD、FIDELIO-DKD)のデータにもとづき承認された。

 FIGARO-DKD試験は、比較的重症度の低い集団を含むCKD患者が対象である一方、FIDELIO-DKD試験は、比較的進行したCKD患者が対象だった。各有効性主要評価項目で、ケレンディア群はプラセボ群と比べ、FIGARO-DKD試験では心血管複合エンドポイントの発現リスクを13%、FIDELIO-DKD試験では腎複合エンドポイントの発現リスクを18%それぞれ有意に低下させた。

 また、2試験より、同剤の安全性プロファイルが示された。重大な副作用は高カリウム血症でした。2試験のデータは、「New England Journal of Medicine」にそれぞれ掲載された。

 なお同社は、腎領域で、CKDの主要な合併症のひとつである腎性貧血の治療剤マスーレッド錠(同:モリデュスタットナトリウム)、および、CKDでの高リン血症治療剤ホスレノール(同:炭酸ランタン水和物)を販売している。同剤は、心不全および非糖尿病性CKDをそれぞれ対象とする第3相臨床試験が進行しているという。

ケレンディア錠 概要

販売名 ケレンディア錠10mg、同錠20mg
一般名 フィネレノン(finerenone)
効能・効果 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
用法・用量 通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
eGFRが60mL/min/1.73m²以上:20mg
eGFRが60mL/min/1.73m²未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。
製造販売承認日 2022年3月28日
製造販売元 バイエル薬品株式会社

ケレンディア錠10mg/20mg(一般名:フィネレノン) 添付文書 インタビューフォーム (医薬品医療機器総合機構)

Cardiovascular Events with Finerenone in Kidney Disease and Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine 2021年8月28日)
Finerenone and Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine 2021年3月18日)
Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine 2020年12月3日)

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[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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